第8回基幹座談会 報告書

座談会部会長 井宮 敬悟

1. 日 時:2022年12月17日(土)13:30〜17:00
2. 場 所:神戸大学工学部本館2階多目的会議室
3. 出席者:下記 (対面:16名、Zoom参加:7名、計:23名)
4. 座談会            (司会:中野副部会長)
(1) 開会のあいさつと座談会の趣旨説明 (井宮部会長)
2014年から機械クラブの会員間の親睦と交流を増進するための集いとして発足した基幹座談会は、 コロナ禍において、2019年以来3年間活動停止していましたが、3年ぶりに第8回基幹座談会を開催することができました。
今回の座談会は、コロナ禍での開催ということもあり、対面での出席者だけでなく、Zoomで出席された方々も交えて、 積極的に議論に参加していただくというハイブリッド方式を採用しました。
さらに、一つの話題について出席者のみんなで意見交換するというスタイルを初めて試みました。皆様の活発な意見交換を期待しています。
(2) 自己紹介 (対面、Zoom出席者全員)
(講演内容概要)
自動運転システムは、国土交通省によりレベル0から5までに分類されている。 レベル0は運転支援なし、レベル1・2は運転支援、レベル3は条件付き自動運転、レベル4・5は自動運転と定義され、 レベル4以上になるとシステムが全ての運転タスクを実施し、運転者が介入することは期待されない状態である。
自動運転技術としては、遠隔型自動運転の方が先行して実現する可能性が高く、自家用車等の自動運転化は、 自動車専用道路から先行して普及する可能性がある。 また、レベル3では、運転者は常にシステムが自動運転を維持できなくなった場合に速やかに運転交替を強いられるため、 社会的受容性の観点から広く普及しない可能性が高い。
自動運転システムをさらに高度化していくには、道路や通信インフラの整備・維持管理を徹底し、信頼性を高めて行くことが大切である。
最後に、自動車運転者及び社会全体が、自動運転に対する過信や誤解を払拭し、正しく理解してもらえるように、 関係者が協力して理解活動することが必要であると提言された。
(質疑・意見交換)
・自動運転車のセンサーで聴覚情報を使っていない理由は?
(回答)聴覚情報は受動的であり、音源特定が困難。また、聴覚障碍者が運転できることからも聴覚情報が運転に寄与することはほぼないと考えられる。
・緊急車両の接近を検知するのに聴覚情報が必要ではないか。
(回答)緊急車両に発信機を持たせることが考えられる。信号機と車両で通信することもやっている。
・ホンダは2025年を目途にコミュニティバスで限定エリア向け試験走行予定と聞くが、レベル4の市販はあるか?
(回答)最初はリースで出すだろう。
現場のデータをどれだけ持っているかが強みになる。
・中国でタクシーやカリフォルニアでUberが無人で走っている例があるが、日本でできないのは法律だけの問題か?
国によってルールが違う。データ取集のルールを作らないと他国に負ける。
(回答)自工会と政府で詰めていくべき。
・自動運転と無人運転の違いを認識する必要があるのではないか?
(回答)無人遠隔運転もある。自動車ではないが神戸市のポートライナーのようなものをイメージして頂ければよい。車両は無人運転だが、 外部のコントロールセンターで常時監視して必要時に遠隔操作する。
自動運転という言葉をレベル1〜3で使うべきでない。
・追い越し時のリスクなど隊列列走行の安全性に問題ないか。
(回答)隊列走行に関しては、テストコースで試験走行しているが、追い越し時のリスク等の検証は今後必要。
・交通事故低減や老人の移動手段以外の自動運転のメリットは何か。
(回答)関係者から見ると非限定領域、監視なしの自動運転ができるかは疑問。道路環境の整備も必要だが、膨大なコストが必要で、災害時には対応できない。 ホンダは周囲の景色をAIが瞬時に環境認識する技術を開発中だがどこまでできるかは不明。
・テスラはLIDARを使わずAIとカメラ情報だけでレベル5まで対応しようとしているが、見解は?
(回答)SUBARU、ホンダもLIDARを使わない形式を開発している。電磁波を反射しない対象に強い点がメリット。
GPSを使った耕運機の自動運転を開発中と聞いている。
・カメラ2台とAIがあれば人間並みの情報が得られるので、カメラ主体の開発になるのではないか。
(回答)各社で色々な方式の開発を行っており、その中から有効なものが採用されていくだろう。
・アイサイトも天候によって使えない場合がある。
(回答)人間の目で判らないものは画像処理でも判らない。LIDARの利用も検討しているはず。

出席された皆さんの実務経験などの知見に基づいて活発な意見交換ができ、 短時間でしたが、機械クラブの会員の知的財産の増加と親睦を図ることができたと思います。

5.親睦会(場所:工学会館2階)
会場を工学会館に移して親睦会を開催しました。今回の親睦会はコロナ禍ということもあり、 各自が持参された飲み物と簡単なおつまみ程度で、マスクをしながら懇談するという方式にしましたが、 和やかに話題提供者を囲んで楽しい時間を過ごすことができました。

親睦会風景

 
6.アンケート結果
第8回基幹座談会の参加者の方々からのアンケート結果について、下記に概要を記載します。

@ 座談会に出席してよかったですか?
・たいへん良かった、良かった:94.7%  ・普 通:5.3%
A 今回の話題提供は、興味深かったですか?
 全員が興味深かったと答えられましたので、皆様からのご意見を抜粋して報告します。
・自動運転の最近の状況がよく分かった。一般に普及するには課題が多くあることが分かった。
・自動運転と無人運転の違いを知ることができた。
・自動運転が普及していくためにも、インフラ整備(道路や標示など)も重要であることが分かった。
・現状のレベル2の運転支援と、レベル3の条件付き自動運転やレベル4以上の自動運転システムには大きな技術格差のあることが分かった。
・日本の中では「石橋をたたいても渡らない」という文化もあり、海外に比べて技術進歩のスピ−ドが遅くなるかもしれないというのが、少し残念であった。
B 次回の座談会に向けてのご意見・アドバイスについて
・対面式とZoom方式を合わせたハイブリッド形式の会合は大変よかった。
・フランクでアットホームな雰囲気は大変よかった。次回も多くの方が参加できるようにテーマ選定お願いします。
・出席者全員による意見交換の時間をもう少し長く取るように工夫していただきたい。
・話題提供された資料を事前に配布されていたので理解を深めるために良かった。
・Web参加は、遠隔地からでも気軽に参加できるので良かった。
今回初めてハイブリッド方式での座談会を開催しましたが無事終えることができました。
これも一重に、対面とZoomそれぞれのご出席者の皆様方並びに関係各位の熱意とご尽力の賜物と感謝いたしております。
今後とも遠隔地の方でも参加していただけるように、ハイブリッド方式の会合を継続してほしいというご意見や、 参加されました皆様から運営に関わる多くの貴重なご意見を頂きましたので、今後更に座談会が活性化されるように、 座談会部会においても検討してまいります。
本当にありがとうございました。


第8回基幹座談会 出席者 (順不同、敬称略)

 

回生

氏  名

回生

氏  名

回生

氏  名

回生

氏  名

対面式

MK

光田 芳弘

MO

野崎 正美

MP

常次 正和

MQ

平田 明男

MR

小嶋 弘行

MS

中野 直和

M

玉屋 登

M

田中 守

PE

伊吹 剛

M

天野 巧

M

山田 拓士

PF

西脇 文俊

P院F

坂口 隆信

M

白瀬 敬一

M

浅野 等

M(53)

伊藤 隆裕

Zoom

MQ

山崎 雅史

MQ

谷 民雄

MR

山岡 高士

M

村田 一夫

M

黒田 浩司

PE

井宮 敬悟

M

大倉 稔

 

 

 

第8回基幹座談会 集合写真(敬称略)


Zoom出席者:山崎、谷、山岡、村田、黒田、井宮、大倉(順不同)

後列左から :伊藤、浅野、常次、西脇、野崎、田中、山田、坂口、天野

前列左から :小嶋、伊吹、玉屋、平田、白瀬、光田、中野