KTCM六甲祭協賛講演会
「固体力学を通して みえること できること」
   金属,単相,連続,平衡,長大から高分子,生体,複相,不連続,非平衡, 極微へ,
                              −固体力学研究室の活動を通して−
                                                                              機械工学科 冨田佳宏 教授

科学技術の進歩に伴い,固体力学の扱う分野は連続体近似が可能なマクロなものから,材料の結晶あるいは分子構造が問題となる ナノ・マイクロ・メゾスコピックなものまで幅広くなっている。固体力学研究室では,材料の最終強度あるいは成形性の予知の観点から,板,殻等の薄肉体に対する変形の分岐と分岐後挙動,変形の局所化挙動,材料の変形の不連続性,微視的構造の変化に誘発される微視的不安定挙動と巨視的不安定挙動に関する研究を行って来ました。

これらの研究は,現象論的構成式,連続固体力学と有限要素法などを基礎とする計算固体力学的手法を用いているために,材料に固有の寸法よりも小さい領域についての振る舞いを  予知出来ません。従って,今日のように,固体力学で扱う領域が極微の世界に踏み込むためには,たとえば,金属材料について図に象徴的に示す各スケールの固有の構造ならびにその熱力学的過程における変化を考慮する必要があります。

研究対象をどのスケールとするかによって, また,それが構造に対して敏感であるか否かによって取り扱いが異なってきます。たとえば,微視構造の安定性あるいは組織化の観点から,変形誘起相変態現象やポリマーの分子鎖の配向に由来する特異な変形応答等は,微視的なスケールの応答でありながら,巨視的な応答に決定的な影響を及ぼします。


このような場合,微視的な構造変化から巨視的な応答に至るマルチスケールの熱力学的なモデルの構築と評価が必要となります。研究室では,金属材料をはじめとしてセラミクス,ポリマー,ゴム,機能性材料,さらには生体に至るまで,多種多様な物質のマルチスケールの強度設計ならびに材料成形性の評価,生体の成長あるいは修復のメカニズムの解明,電子・原子レベル材料の強度評価など,新しい機能設計手法の確立を目指した教育・研究を行っている。さらに,もの造り,高強度軽量化によるエネルギ消費の抑制ならびに医用工学等に関連して,上記研究に興味を抱いて頂く企業等も多くなっております。
   これまで研究室において推進してきた研究が 直接お役に立つようになってきたことを喜んでおります。これらの研究成果は,固体力学研究室のスタッフならびに学内外の共同研究者,研究室に関連した多くの大学院生,卒業研究生や企業からの研究生の協力によるところが大であります。詳細な情報は,研究室のホームページ(http://solid.mech.kobe-u.ac.jp/)をご覧頂きますれば幸甚です。

H15118日開催、参加者
教官:中井先生、屋代先生                              旧教官:進藤先生、森田先生
P5 島、                      MD 上原・岡澤・山登、     MG 坂口、    MK 薮、
MO 神吉、            MP 新村・三好、         M(27) 圓地、      M(30) 白瀬、
M(31) 片岡・道浦・宮野、             M(37) 鎌田、      M(38) 安達()
M(40) 井上、                              M(41) 位野木・雁瀬、                    M(43) 鳥生、
M(45)
 塩崎、                              M(46) 楠、         M(48) 中村、 
PK 村田・藤村、          PP 高橋、                     PS 比護、         P(21) 田仲、
P(24) 上杉、               M35 陸、                    H13 博士後期課程修了 袁・比嘉、 
S35 経営学部卒 丸尾                               院生・学生 18

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