平成22年度KTCM「先輩は語る」講演会(概要報告)
併催:坂口忠司研究奨励賞受賞者の成果発表

日 時:平成22年6月18日(金)8時50分〜10時20分
場 所:工学部LR−501教室
司 会:白瀬 敬一 教授(専攻長)

講 演 会











講演題目 : 「省エネルギーを目指した機械の開発について」
講      師 : 西村 真 氏 
講師略歴 :
・1991年 神戸大学 (大学院工学研究科機械工学専攻) 卒業
・1991年 株式会社神戸製鋼所入社
       入社後、伝熱、燃焼関連の業務に従事
・1998年 大阪大学大学院工学研究科機械物理工学専攻
       入学
・2000年 博士(工学)取得
・2004年 研究企画業務に従事
・2008年 省エネルギーを目指した機械の開発に従事
講演内容
日本の工業とエネルギーを取り巻く状況について、財務省、エネルギー 白書におさめられたデータをもとに概説する。日本の貿易収支は年間10兆円 程度の黒字を続け、輸出品目の70%が機械機器を占めており、加工貿易国 である。しかし、輸入品目を見ると、鉱物性燃料から機械機器の割合が増し ている。機械機器を生み出す産業において工学部出身の人材は不可欠か つ重要である。
日本のエネルギー自給率は4%であり、世界経済に左右されながら、燃料 価格の変動を受け入れざるを得ない状況は今後も続く。近年のエネルギー消 費量はほぼ横ばい、製造業のエネルギー消費原単位は概ね首位の位置を 占めている。しかし、CO2排出量を見ると、世界で第5位という事実がある。 今後も日本の省エネルギーを推進すべきであり、かつ世界に向けて発信す べきである。
神戸製鋼所で開発した省エネルギーを目指した機械について紹介する。 排熱を利用する小型蒸気発電装置、熱輸送技術、そして高効率冷凍機に ついてのしくみやメリットなどを紹介する。
(右の画像をクリックすると講演内容の詳細をご覧いただけます。なお、本資料はWEB掲載用に抜粋したものであり、実際の講演資料とは異なります。)

研 究 報 告(坂口忠司研究奨励賞受賞者による成果発表)
“Multiphase Flows: Simulation, Experiment and Application” 参加報告
   成相 俊文 君(大学院工学研究科 博士課程前期課程2年)

平成21年 5月 26日から28日にかけてドイツ ザクセン州のドレスデンで開催された 「Multiphase Flows: Simulation, Experiment and Application」に参加致しました。 この国際会議は、数値シミュレーションの汎用コードを開発しているANSYS Inc.とドイツの研究機関FZD (Forschungszentrum Dresden-Rossendorf)が共催する会議で、 世界中の研究者が参集し、混相流の数値的、実験的研究に関する最新の研究成果が数多く報告されました。 私は「Counter-Current Two-Phase Flow in a Scale-Down Model of a PWR Hot Leg」という講演題目で口頭発表を行いました。 本発表では、加圧水型原子炉(PWR)の事故時に想定されるホットレグ内気液対向流についての実験及び運動量式に基づく現象予測モデルに関する研究成果を報告しました。 この研究は、原子炉内流動解析のためのデータベース構築を通じて、原子炉の更なる安全性向上に資するものです。 FZDの研究グループも同じ現象を対象として研究しており、互いの研究内容について内容の濃い議論を交わしました。 また実験施設を見学させていただく機会にも恵まれました。 国際舞台での口頭発表、世界の先端的研究成果の収集、他研究者との議論、実験施設見学と、本国際会議参加は非常に充実しており、大変貴重な体験となりました。 最後になりましたが、今回の国際会議での講演に対して、機械クラブ坂口忠司研究奨励賞という名誉ある賞を授与して頂いたことに深く感謝いたします。 これを励みにより一層研究に精励する所存です。