平成23年度機械クラブ 六甲祭協賛講演会(報告)
 開催年月日 : 平成23年11月12日(土)       
場所 : 六甲台本館第T学舎 2階232教室 

恒例の六甲祭協賛講演会が六甲祭で賑わう六甲台学舎において開催されました。 参加者は約50名でした。
今年も昨年同様,講演会に先立って,学生の自主活動(学生フォーミュラチーム,レスキューロボットチーム)の活動報告が行われました。

                 
◆講演会…「機械工学先進研究」紹介 (司会:白瀬 敬一 教授)
○講演題目:泡の性質とその工学的役割
○講   師:冨山 明男 教授 (工学研究科 機械工学専攻)
○講演要旨
「ビールの泡はうまい.いい泡です」.冒頭,身近な泡の例としてビールの泡の話から始まった.つづいて,これまで先生が取り組んでこられた実験やシミュレーションの事例を示しながら,エネルギー・環境工学において泡が果たす役割が紹介された.泡は日常生活においてもそこここに見受けられるが,その工業的応用範囲の広さと泡の性質の複雑さを認識させられた.泡の運動を理解する事の難しさは,泡の上昇運動の非線形分岐に関する研究において特に印象的であったが,当時の学生が実験中に不可解な泡の運動を発見し,「おかしい,同じ大きさの泡なのに,生成する度に形状と速度がまったく違う!」といって先生の研究室に飛んできたというエピソードには科学的発見に興奮する臨場感があり非常に面白かった.その他,二酸化炭素泡の溶解過程や界面活性剤が吸着した泡のシミュレーション技術に関する最近の取り組み,天然ガス液化技術における気泡塔内の流動シミュレーション技術開発など,これまでの実験的・数値的研究成果を積み上げて現在の高度シミュレーションが可能になってきたことなどについて語られた.最後は「このシミュレーション技術レベルに到達するまでに20年かかった.世界的に見ても先端と言える.しかし,コップに注がれたビールの泡でさえ,シミュレートできるようになるにはさらに20年かかるかもしれない」と,先生の研究生活20余年の重みをもって泡の奥深さを示して締めくくられた.発表後には,界面活性剤を汚れと呼ぶこと(日常の感覚とは逆)の理由や,気泡力学における分子動力学の今後の展望について質問があり,活発な議論が展開された.(報告者 M50 林)
         
図1 多数の気泡からなる複雑な流動    図2 気泡の詳細シミュレーション
◆「学生の自主活動」報告 (司会:白瀬 敬一 教授)
◇学生フォーミュラチーム(報告者:河野 久晃 君)
 神戸大学学生フォーミュラチーム(FORTEK)は,2011年9月5(月)〜9日(金)に静岡県エコパで開催された第9回全日本学生フォーミュラ大会に参加しました.
 昨年の大会では,耐久走行部門1位,総合順位14位というチーム史上最高の成績を収めることができました.今年は昨年度以上の成績を残し,強豪校の仲間入りを果たすべく,「総合得点700点以上,総合順位1桁」を目標とし,プロジェクトを進行して参りました.車両の完成時期は昨年と同様であったものの,走行テストで様々なトラブルに見舞われ,満足な調整や練習を行えないまま大会に挑むこととなりました.
 競技は順調に進み,順調に得点を重ねていたのですが,最終競技である耐久走行の7週目でサスペンションパーツが破損しリタイアとなり,総合順位31位という結果に終わりました.
 最後になりましたがチーム発足時から私達へ温かいご支援を頂いておりますKTCMの皆様に心からお礼申し上げます.本当にありがとうございました.来年は雪辱を果たすべく,今以上に精進して参りますので,今後とも神戸大学学生フォーミュラチームを宜しくお願い申し上げます.
◇レスキューロボットチーム(報告者:柏木 洋慶 君)
 神戸大学ロボット研究会“六甲おろし”は,8月6日(土),7日(日)に三宮サンボーホールで開催された第11回レスキューロボットコンテス トに参加しました.
 今年は「チームの再構築」というコンセプトの元,堅実で完成度の高いロボットの製作を目標としました.本選競技では自分たちの理想とするレスキューを実現でき,総合得点で1位を獲得し「ベストパフォーマンス賞」を受賞できました.併せて「日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門一般表彰」「ベストプレゼンテーション賞」を受賞するなど高い評価を得ることができました.
 来年度に向けては今年獲得できなかった「レスキュー工学大賞」の受賞を目指して頑張りたいと思います.KTCMの皆様には日頃より“六甲おろし”チームの活動にご理解・ご援助していただきありがとうございます.今後ともご支援よろしくお願いいたします.