平成25年度機械クラブ 六甲祭協賛講演会(報告)
 開催年月日 : 平成25年11月9日(土)       
場所 : 海事科学部4号館 3階4301教室 

恒例の六甲祭協賛講演会が開催されました。今回は六甲祭が深江キャンパスで開催ということで、講演会も海事科学部4号館で行われました。
例年通り,山根先生の講演会に加えて,学生の自主活動であるレスキューロボット,学生フォーミュラの活動についてそれぞれ長谷川君,船橋君から報告がありました。

                 
◆講演会…「機械工学先進研究」紹介 (司会:白瀬 敬一 教授)
○講演題目:人工心臓に活きる機械工学
○講   師: 山根 隆志 教授 (工学研究科 機械工学専攻)
○講演要旨
山根教授が取り組んでおられる人工心臓開発の最前線と,これまでの成果と今後の課題について,分かりやすくご講演いただいた. ご講演は以下のように9つのパートに分けられていた. 1.人工心臓の種類,2.軸受形式の選択,3.ポンプ形式の選択,4.ターボポンプの原理, 5.血液適合性の工学評価,6.流れの可視化実験,7.模擬血栓試験,8.動物実験,9.神戸大学における研究課題.

前半は日本における心臓疾患患者数の統計から人工心臓の必要性を説くに始まり,人工心臓の基礎とこれまでの発展の経緯,またポンプ設計におけるポイントを述べられた. 本講演案内ページの要旨にもあるように,「人工心臓は空気/電磁拍動型から小型回転型へと変化し、さらに非接触回転軸受を導入して長寿命化を実現するという技術革新を遂げた。」 この技術革新により、心臓疾患をもつ患者が就労・就学できる療養生活が可能となったことの意義は大きく,今後のますますの発展が期待される。

後半は山根教授が開発してきた実例の紹介であり,いかにして血栓形成や溶血の起こらない人工心臓ポンプを開発するか,という視点から研究例をご紹介いただいた. 血液はある範囲のせん断速度で流れると血小板の凝集による血栓あるいは赤血球損傷による溶血を起こす. レーザー計測などを駆使してポンプ内流れを把握し,血栓・溶血を防ぐポンプ設計についてご説明いただいた.

医学サイドと連携しながら,流体力学的視点から問題に取り組まれており,医工連携において工学が果たす役割の重要性がよく理解できた. 最後に現在独自に進められている研究,他機関との共同研究についてご紹介いただいた. (報告者 M50 林)
◆「学生の自主活動」報告 (司会:白瀬 敬一 教授)
◇レスキューロボットチーム(報告者:長谷川 正悟 君)
神戸大学ロボット研究会「六甲おろし」は、8月10日(土)と、11日(日)に神戸サンボーホールで開催された、第13回レスキューロボットコンテストに参加しました。 10回目の参加となる今年は、「未来を見据えたレスキュー」というコンセプトのもと、実際の救助活動を想定した3機のロボットを製作しました。 1号機「Crocus」と2号機「Iris」は、ホールディング機構を用いてガレキの倒壊を防ぎつつ、下敷きになっている要救助者を機体内に収容します。 3号機「Ixia」は、倒壊した家屋の2階部分から、小回りの利く子機を用いて要救助者を収容する機体で、高所での救助を想定して製作しました。

加えて、被害状況の迅速な集約と伝達を目的とした3Dマッピングシステムや、要救助者の声を聞き取る音声認識システムを新たに開発しコンテストに臨みました。 しかし、ヒューマンエラーに回路の不具合が重なり、本選のファイナルミッションに進出できず、非常に悔しい結果となりました。

KTCMの皆様には、我々の取り組みに日頃よりご理解、ご援助をいただき、ありがとうございます。 現在は、今回の反省を生かしたレスキューを目指して活動を行っておりますので、今後も温かいご支援をよろしくお願いします。
◇学生フォーミュラチーム(報告者:船橋 駿斗 君)
私達,神戸大学学生フォーミュラチームFORTEKは,2013年9月初旬に開催されました第11回全日本学生フォーミュラ大会に参加いたしました. 2003年に発足しましたFORTEKも今年で10年目を迎え,更に厚いご支援を頂いている次第であります. 前回大会,第10回大会ではチーム史上2度目の全種目完走を達成しチーム史上最高順位である総合順位10位を獲得する事が出来ました. これらをふまえ今年度大会では「総合順位6位以上」を掲げ,プロジェクトを進めて参りました. 昨年度のプロジェクトの反省として,マシンの早期シェイクダウンにこだわり,各パーツの設計の見直し,プロジェクト管理の徹底を行い,主要構造体であるフレームにはレーザーカットを採用し,製作精度の向上,製作時間の減少を達成しました.その結果,チーム最速である6月1日にシェイクダウンを達成する事ができ,テスト走行でも過去最長の走行距離を稼ぐ事が出来ました.

本大会では,静的競技ではメンバーの審査前日深夜に及ぶ準備もあり,昨年度と比較して改善すべき点もあるものの向上がみられました. 限りある時間内で最大限の整備を行い,送り出した耐久走行では最終ラップにおいて,エンジンのオーバーヒートによりリタイアを決してしまい,2年連続の全種目完走は達成する事ができませんでした.
どれだけテスト走行をおこなったとしても常に本番を想定して走り込み,準備を行う事ができなければ結果はともなわないと感じました. 今年度の結果を一つの糧として,来年度以降さらに成長できるようメンバー一同努力して参ります.

最後に,チーム発足当時より,弊チームへ多大なご支援を承っておりますKTCM様に心から感謝申し上げます.本当にありがとうございます.
今後とも神戸大学学生フォーミュラチームFORTEKをよろしくお願い致します.