平成27年度機械クラブ 六甲祭協賛講演会(報告)
 開催日 : 平成27年11月14日(土)       
場所 : 鶴甲第1キャンパス D棟414教室 

恒例の六甲祭協賛講演会が開催され、神野先生の講演会、学生自主活動:レスキューロボット・学生フォーミュラ活動報告が行われました。

                 
◆講演会…「機械工学先進研究」紹介 (司会:細川 茂雄 准教授)
○講演題目:機能性マイクロデバイスの新しい展開
○講  師: 神野 伊策 教授 (工学研究科機械工学専攻)
○講演要旨
恒例の六甲祭協賛講演会が去る平成27年11月14日に行われました。今回は機械ダイナミックス研究分野の神野 伊策教授を講師にお迎えし、先生が取り組まれている機能性マイクロデバイス関連研究についてご講演いただきました。以下にその内容をご紹介します(M50林)。

はじめに先生の略歴を紹介していただいた。いまは機械工学専攻教授を務めておられるが、修士課程までは原子力を専攻されていたそう。修了後はパナソニックに入社、研究所だけでなく事業部も経験されて得た多角的な視点が、大学教員になってからも役に立っているということであった。

講演は以下の4パートに分けられていた。I機械システムの中の機能性デバイス、II圧電材料と圧電MEMSデバイス、IIIエナジーハーベスト技術の今後の展開、IVまとめ。

I機械システムの中の機能性デバイス
まず、センサとアクチュエータの基本とその応用分野をお話しいただいた。「様々な機械製品の高機能化が実現できる。裾野の広い技術分野。機械工学におけるブレイクスルーにおいて重要な役割を担っている。最終的には人間の知覚と行動をセンサ・アクチュエータでおきかえることを目指している。」MEMSとの融合として、MEMS(micro-electro-mechanical systems)の概要をお話しいただくとともに、これまでに神野先生が開発に携わった事例をご紹介いただいた。

II圧電材料と圧電MEMSデバイス
材料自体がセンサ・アクチュエータの性質を持つ圧電材料は、静電容量変化を利用するセンサよりも機構的に簡単で設計の自由度が高く、MEMSへの応用に向いている、という点に着目し、圧電MEMSデバイスの研究に取り組まれている。 圧電MEMSデバイスとその開発の基本技術を紹介していただいた。圧電材料のデバイス仕様に適した薄膜化は、その技術がまだ確立されていない発展途上にあることのほか、複合領域の研究分野開拓、周辺技術との整合性向上、圧電薄膜にしかできない応用を見極めること、を研究課題と捉えておられるそうだ。

IIIエナジーハーベスト技術の今後の展開
なぜいま環境発電か?微小電力で動作する電子デバイスの電源があればバッテリフリー、メンテナンスフリーの製品ができ、電源として環境中に存在する薄いエネルギーをかき集めて電気エネルギーとして利用する技術が確立できれば、環境をセンシングして自然災害を防ぐ、対策を講じるための情報を収集するなどの応用が実現できる。圧電エナジーハーベストの長所として、単純な素子構造・利用しやすい出力電圧が挙げられる。発電量向上、非鉛化など、短所の解決が課題であるが、MEMS技術を使って既存技術の短所を解決するべく研究を進められている。

IVまとめ
最後に、ここまでのお話しを総括し,先生の研究のスタンス「基礎から応用までの横断的研究をナノレベルの技術から作り出す」、「社会貢献に必要な技術開発を上流に遡って取り組む」を述べて、講演を締めくくられた。
                 


◆「学生の自主活動」報告 (司会:細川 茂雄 准教授)
◇レスキューロボットチーム(報告者:長門 広洋 君)
神戸大学ロボット研究会「六甲おろし」は、レスキューロボットコンテストに出場するロボットの製作を主とした活動を行っています。今年度の第15回レスキューロボットコンテストでは「状況に適応した救助」をコンセプトとして4機のロボットを製作しました。

1号機「うり坊α」は吊り橋と内蔵している子機を用いた高所での救助を行います。2号機「うり坊β」は自動水平機能を備えたベッドとアームで救助時の負担を軽減しつつ抱え上げる救助機構を搭載しています。3号機「うり坊γ」は新たに開発した、尺取虫の要領で支えを作って引き込む「しゃくとり型救助機構」を用いて平地や狭い場所での救助を行います。4号機「うり坊χ(カイ)」は雪や砂等の悪路に対応したスパイラルドラム駆動輪を使用しています。災害時に想定される様々な状況に対応するため、それぞれが異なる特徴を持つように設計・製作を行いました。

ソフトウェア部分では、ロボット同士の連携をより円滑に行うために、PC間でロボットからのカメラ映像を共有できる機能を実装しました。

残念ながら、今年度は予選の競技結果が芳しくなく、本選に出場することはできませんでした。今年は例年よりも多く新たな機構やソフトウェアの開発に取り組みましたが、それによって全体のスケジュールに遅れが生じ、最終調整やロボットの操作訓練を十分に行えなかったことが大きな要因となりました。

最後に、KTCMの皆様、日頃より私達の活動にご理解、ご援助いただき、深く感謝申し上げます。今年度の結果から得た多くの教訓をしっかりと心に留め、来年の躍進に向けて活動を行っていきますので、これからも温かいご声援よろしくお願い致します。

◇学生フォーミュラチーム(報告者:第十 祐幹 君)
私達神戸大学学生フォーミュラチームFORTEKは、2015年9月1日〜5日に開催されました第13回全日本学生フォーミュラ大会に参戦してまいりました。

私達FORTEKは、学生自らの手でマシンを一年間で一台製作し、走行させる過程でものづくりのおもしろさ・喜び・厳しさの経験を通じて、多岐に渡る自己能力の向上を目的として2003年より活動を行なっています。現在活動メンバーは、1,2回生を中心に16名で活動しております。

今年度は、活動を始めるに当たってまず3つの課題がありました。1つ目に製作場所(工作技術センター)の建替えによる作業時間の減少、2つ目に活動メンバーの大きな変更による技術力の低下、3つ目にドライバーが全員新人による運転技能の低下。以上3つの課題より私達が今年度製作するマシンの要素として「簡単に短時間で製作でき、扱いやすいこと」としました。さらに、今年度の目標を「総合成績6位以上」とし、マシンの開発コンセプトを“Fan to Ride”としました。

製作段階では、いくつかのトラブルもあり予定通りに完成することはできませんでしたが、大会3週間前に初走行を行うことができました。しかし、準備期間が短く充分なトラブルシュミレーションを行うことができていない状態で大会本番に臨むこととなりました。

大会本番では、静的競技については製作場所建替え期間に例年よりも多くの時間を使い事前資料を製作したことにより、チーム最高得点を獲得することができました。しかし、動的競技では競技前の試運転でエンジンが故障してしまいました。最後の競技開始まで、懸命に復旧作業を行いましたが残念ながらエンジンを始動することはできず、リタイヤとなってしまいました。総合成績では、昨年度よりも順位を大きく落とし総合36位となり、目標には及ばず悔しい結果となりました。

今年度の結果より、早期のマシン完成によって練習時間とトラブル対応の時間を確保することが非常に重要だと改めて感じました。 例年の傾向から、近年は静的競技で着実に得点を獲得できるようになって来ており、動的競技で点数を伸ばせれば安定して高い順位を獲得できるため、メンバー全員が目標に向け全力で邁進して参ります。

最後に、チーム発足当時より多大なるご支援を頂いておりますKTCM 様にチームメンバー一同心から感謝申し上げます。今後とも私たち神戸大学学生フォーミュラチームFORTEK をよろしくお願い致します。