「平成28年度 神戸大学機械クラブ総会・講演会」報告

開催日時: 平成29年3月24日(金)16:00〜17:25
開催場所: 兵庫県私学会館206会議室
          神戸市中央区北長狭通4丁目3-13
参加者数: 総会36名,講演会68名

【1】総 会       16:00〜17:00
昨年の総会以降亡くなられた方々のご冥福を祈るため黙祷を捧げたのち、平田総務部会長の開会宣言に続き、冨田会長の挨拶をいただいた。
1. 会長挨拶
 機械クラブ総会にご出席頂き誠にありがとうございます。昨年2期目の機械クラブ会長を仰せつかり、本日ご出席の皆様方ならびに機械クラブ各部会長をはじめ部会員の皆様のご支援を賜り今日を迎えることができましたこと感謝いたしております。私の会長任期は残すところ1年となっており、2月に開催されました副会長会議において次期会長選出について了承されましたので、会長選考規程に準拠して、選考を進めて頂く予定であります。
 会員の皆様が、機械クラブが主催する催しにご参加頂き、旧交を温め、絆を深め、楽しい一時を過ごして頂くこと、学生諸君や若手の会員の皆様には、先輩諸氏の目覚ましい活躍を目の当たりにして、確度の高い自身の将来像を描くことを可能にし、機械工学科を卒業したことに誇りと自信をもたらすことを期待致しております。さらに、本会の活動の柱の一つであります、教員・学生の研究支援・表彰、大学教育のグローバル化に伴う学生諸君の海外研修支援、フォーミュラーカーやレスキューロボットなどの学生の自主活動に対する支援を一層充実させ、手厚くするための原資となる会員の皆様に納入頂きます年会費ならびに寄付金が不可欠であります。
 何時も申し上げておりますように、会員の皆様の各種行事への参加数ならびに会費納入者数は必ずしも会員の年齢構成に見合ったものになっておらず、今後の健全な同窓会活動を制限しかねない状況であります。機械クラブの活性化に対して会員の皆様から賜った様々なご提言を参考にさせて頂き、総務部会長を中心に各部会において大学と協調して多方面から継続した取り組を行っております。活動内容は本日ご説明させて頂きますとともに、機械クラブだより、機械クラブホームページには、機械クラブと大学が共同で推進致しております様々な取り組みの詳細を記載致しております。加えて各種行事へのご参加の申し込みなどについてのご案内も掲載致しております。
 今後、これまで以上に、会員の皆様ならびに執行部の皆様の強力なご支援を頂き、機械クラブを継承・発展させて頂く所存であります。本日ご出席の皆様におかれましては、お近くの卒業生の皆様にぜひ機械クラブの活動についてご説明頂きますようお願い致しますとともに、今後とも宜しくご支援,ご鞭撻のほどお願い申し上げ会長の挨拶とさせて頂きます。有難うございました。
2.議事
 議長選出:議事に先立ち冨田会長に議長を委嘱する旨諮り、全会一致で承認され議事に入った。
 
 【1号議案】 平成28年度活動実績及び平成29年度活動計画
 資料に基づいて平田総務部会長より「平成28年度活動実績
 及び平成29年度活動計画」が報告され、全会一致で承認さ
 れた。
  • 見学先候補として京セラ、オムロン、新明和工業等が上がっているが、他に希望があれば尾野部会長まで連絡を乞う。
  • クラブ精密30周年記念事業の石碑建立について井宮理事(PE)より他の単位クラブでの事例はあるかとの質問があり、グランドの西側に数基あるとの回答で了解いただいた。
  • クラブ精密の30周年記念例会は6月2日(金)に決定した旨島代表幹事より報告いただいた。
 【2号議案】 平成28年会計報告および監査報告
  資料に基づいて副島財務部会長から"収入"と"支出"の主な項目についての内容と金額が報告さ
 れた。
 それに対し、國光監事から「厳正、かつ慎重に監査を行った結果、正確・適正な会計処理が行なわ
 れていることを確認できた」との監査結果が報告され全会一致で承認された。
 【3号議案】 平成29年度組織・人事
  冨田会長から役員一覧表に基づいて説明があり、特に異議なく承認された。
 座談会部会副部会長MH永島忠男氏が退任し補佐に就任。
 KTC関係前塚 洋氏が平成29年2月2日より2年間KTC東京支部長に就任
 退任MK森岡宏次氏が理事退任。これまでのご尽力に感謝致します。
 次期会長会長挨拶において述べているように、会長選考規程に準拠して、選考を進めて頂く。
 【4号議案】 平成29年予算
  資料に基づいて、副島財務部会長から平成29年の予算について説明があった。収入面では納入者
 700名(含む複数年納入者328名)により、1,400千円を計上し、支出面では学生自主活動2チーム
 支援各5万円増額、クラブ精密30周年記念事業12万円を計上するとの説明があった。
 審議の結果、全会一致で承認された。
3.各種表彰
 今年度の各種表彰が冨田会長より報告された。
 ・機械クラブ賞磯野 吉正氏 (大学院工学研究科機械工学専攻教授)
 ・KTC理事長賞今倉 伸浩君 (大学院前期課程機械工学専攻2年)
 ・機械クラブ会長賞(2名)橋口 大樹君 (大学院前期課程機械工学専攻2年)
長谷川 正悟君 (大学院前期課程機械工学専攻2年)
 ・機械クラブ国際活動奨励賞(5名)青山 昌平君 (大学院後期課程機械工学専攻2年)
石田 昴平君 (大学院前期課程機械工学専攻1年)
中西  巧君 (大学院前期課程機械工学専攻2年)
長尾 淳志君 (大学院前期課程機械工学専攻1年)
下門 輝也君 (大学院前期課程機械工学専攻2年)
4.KTC活動報告
  資料に基づき西下俊明理事から、第176回企画委員会、第2回理事会の話題を中心に最近の活動
 状況が報告された。海外インターンシップ学生派遣の経費援助を増大する等大学の変革に対する
 予算措置、代議員選挙結果、就職ガイダンス『きらりと光る優良企業』、機械工学科2年生の
 インターンシップへの協力要請、(株)科学技術アントレプレナーシップ等について報告があった。
・定時社員総会への出席要請
 5月19日(金)17:00〜20:00 於楠公会館 多数の参加をお願いする。
 講演会 講師;大学院工学研究科 電気電子工学専攻 塚本昌彦教授
     演題;ウエアラブルコンピユーテイングの動向と将来

5.機械工学専攻の近況
  磯野専攻長から、学科構成、大学の変革への対応について報告頂いた。
  • いい卒業生を輩出するために基礎能力の養成教育 などの教育理念をもとに教育を行っている。
    材料物理、熱流体、設計生産の3講座の中にそれぞれ4〜5の教育研究分野がある。現在の教員構成
    は教授13名、准教授14名、助教8名、助手1名 計36名。学生数は次年度から103名となる。
    これは文社系定員削減の影響である。
    熱流体では、混相流、エネルギー調達、音響など
    材料物理では、シミュレーション、疲労破壊、医療や高温材料の創製
    設計生産では、MEMS(細かいデバイス)設計〜製作〜応用まで幅広く研究が進められている。
    材料物性学等が今ホットな分野。生体材料の研究が盛んである。
  • 大学改革が進められ、大学の予算は削減されている。
    神戸大学は卓越した教育研究を行う大学になっている。昨年度は評価が良く1.3%増の結果であったが、来年度は評価が悪く前年比2.1%の減となることが決定された。
    文科省は機能強化について、@研究分野A教育分野B組織改革の強化を求めている。対応策は以下。
    1. 教育分野では前回報告の通り2016年度から4学期(クオーター)制を開始した。これは日本の大学としては早いほう。いち早く導入して、2か月を一つの期にして、二学期で一つの単位を与えることにした。学生は1週間で2回の講義を受けることになる。短期のうちに詰め込んで単位(クレジット)を与えることになる。欧米と同じ方式に合わせることで、欧米の大学に留学しやすくなる。これは安倍政権の目玉の一つ、グルーバル化への対応ということになる。
    2. 研究の機能強化では大型研究予算獲得に伴う間接経費で予算を補填する。
    3. 第3期中期目標期間6年間の間に専攻再編を考えている。
 最後に昨年、フォーミュラ大会は106校中8位、レスキューロボットでも好成績を残した。これら
 の活動への御支援に感謝している。

6.機械クラブ賞授与
  冨田会長より磯野吉正氏に機械クラブ賞が授与された。
    

 以上
(文責 MQ平田明男)

  
【2】講演会      17:30〜18:40
 講演者:三菱重工業(株) エネルギー・環境ドメイン 原子力事業部 機器設計部
            朝田 誠治氏(M㉟ 1987年卒)
演 題:『原子炉容器設計に必要な評価技術』
内容概略(詳細は資料参照)
三菱重工業鰍ナ製作されているPWR型原子力発電をもとに講演いただいた。2004年5月4日に発生した大飯三号機の応力腐食割れ事故の実際の計算事例も引用いただき、わかりやすく説明いただいた。
  1. 弾塑性FEM解析は有効な手法。計算機も進歩して3次元の細かい解析もできるようになっている。ただブラックボックスも多く結果のチェックには材料力学を理解していることが必須。
  2. 疲労解析では、低サイクルだけでなく、高サイクル側の検討も必要となっている。なかなか難しい分野。
  3. 破壊力学評価では、万一微小な破損部分が見つかった場合、今回説明した方法で、次回補修までの進行予測をすることもできる。
これらすべて材料力学を理解して評価することが基礎となっている。解析は専門家が実施してくれる。
ただ、結果だけを見るのでなく、材料力学の観点から、チェック検討することが必要と思っている。

[質疑応答]
Q1:私も社会に役立つ仕事をしたいと思っているが、原子力のような大規模な仕事は怖さもあると思う。どのようにそれを克服するか?
A1:技術の積み上げを確実に行うことが必要。新設計では実験、解析、レビュー会等を確実に行って、知識を集めることが必須。実際に自分が設計したものは現場を自分で見に行ってほしい。
Q2:どういった要因が高サイクル疲労をもたらすのか?
A2:ポンプに接続する配管に生じる高サイクル疲労は一般的。それ以外ではもんじゅの事故で、配管内に挿入された(センサーなどの)鞘管が流体振動で壊れた事例がある。これがきっかけで、流体振動で壊れないような条件で設計する旨の規格を作った。それに従い、種々の器具の取り替えを行った。
Q3:貫通している配管の応力集中の設計はどのようになっているか?
A3:配管系は計算のための係数が決まっているのでそれをもとに設計している。
 (文責 M㉚尾野 守)