「平成29年度 神戸大学機械クラブ総会・講演会」報告

開催日時: 平成30年3月27日(火)16:00〜17:20
開催場所: 兵庫県私学会館206会議室
参加者数: 総会41名、講演会61名、新入会員歓迎会71名

【1】総 会       16:00〜17:00
 昨年の総会以降亡くなられた会員16名のご冥福を祈るため黙祷を捧げたのち、平田総務部会長の開会宣言に続き、冨田会長の挨拶をいただいた。
 1.会長挨拶
   議事に先立ち、冨田会長より挨拶をいただいた。
 はじめに、本総会への会員の皆様のご出席への感謝が述べられ、4年間の間会長職を通して、先生方・学生への支援を柱に活動してきた。課題として若年層の参加率の低さがあるが、だんだんと良くなってきているので、今後の変わらぬご支援をお願いしたい。
 会長推薦委員会において、平田総務部会長が圧倒的な支持を得て、新会長に選出された。これまで同様、次期平田会長へも変わらぬご支援を賜りたい。
 2.議事
 議長選出:総会の議長を冨田会長に委嘱したいとの提案があり、全会一致で承認され議事に入った。
 【1号議案】 平成29年度活動実績及び平成30年度活動計画
  資料にもとづき平田総務部会長より「平成29年度活動実績及び平成30年度活動計画」が報告され、全会一致で承認された。
  • 平成30年度 理事・代表会 第1回6月23日(土)、第2回12月8日(土)工学部にて開催予定
  • 平成30年度 総会 3月26日(火)兵庫県私学会館にて開催予定
 【2号議案】 平成29年会計報告及び会計監査報告
 資料にもとづき副島財務部会長より「平成29年会計報告」が報告されたのち、國光監事より「会計監査を1月27日に実施し、関係書類・帳簿の監査を行い、正確かつ適切であることが確認された。」との会計監査報告があり、全会一致で承認された。
 【3号議案】 平成30年度組織、人事
 資料にもとづき冨田会長より「平成30年度機械クラブ組織」について提案があり、全会一致で承認された。
 【4号議案】 平成30年予算
 資料にもとづき副島財務部会長より「平成30年予算」について提案があった。
  • 収入面では、年会費納入者の増加があまり期待できないので、目標617名(平成29年に対し100名増加)を見込む。
  • 支出面は29年度並みで立案。予備費として現時点未定の見学会、東京支部への対応を見込む。
本件は全会一致で承認された。
 3.各種表彰
 冨田会長より今年度の各賞受賞者が紹介された。
 
  • 機械クラブ賞
該当者なし
 
  • KTC理事長賞
漆谷 建治君(大学院機械工学専攻前期課程2年)
 
  • 機械クラブ会長賞
永井 紳一朗君(工学部機械工学科4年)
 
  • 機械クラブ国際活動奨励賞
橋田 昌明君(大学院機械工学専攻後期課程1年)
 平井 大志君(大学院機械工学専攻前期課程2年)
 西  崇仁君(大学院機械工学専攻前期課程2年)
 宮ア  猛君(大学院機械工学専攻前期課程2年)
 西脇 大維君(大学院機械工学専攻前期課程2年)
 合田 頼人君(大学院機械工学専攻前期課程1年)
 4.KTC活動報告
 資料にもとづき西下理事より181回企画委員会、第3回理事会を中心に最近の活動状況が報告された。
入会金・寄付金の減少に対し、企業賛助金(セミナー)増で補っている状況。支出は研究セミナー増のため、特定資産取り崩しで対応。活動・支援内容の見直し。学生の自主活動支援に加えて、学生表彰・学術交流外国学生受け入れ、海外インターンシップ学生派遣等への使途増大の検討。(株)アントレプレナーシップへの資金拠出検討中。入学手続きの郵送化による入会者減少の可能性に対し、入学予定者・保護者向けオリエンテーションにて入会勧誘を実施。代議員選挙が予定されている。
 
  • 定時社員総会への出席要請
    5月19日(木)17:00〜20:00 於楠公会館 多数の参加をお願いする。
    講演会 講師 国立研究開発法人産業技術総合研究所ロボットイノベーション研究センター長
           比留川博久氏(In㉑)
        演題 『ロボット革命―ロボット技術によるイノベーションを目指して』
 5.機械工学専攻の近況
 田中克志専攻長より機械工学専攻の近況について報告いただいた。
 
  • 機械工学専攻の教員の異動と組織について
    3月末で田浦俊春教授、竹中信幸教授、山根隆志教授が退職される。2月末で菊池将一助教が静岡大に転出した。
    4月1日付で浅野等先生が教授に、村川英樹先生が准教授に昇任される。上杉晃生先生が着任予定。
    研究基盤センター改組に伴い、藤居先生がMM-4に復帰。
    教育研究分野が12となり、教員31名(教授10名、准教授14名、助教6名、助手1名)に減少。
    学生定員103名。
  • 今年の入試倍率1.96倍と2倍を切る状況。志願者増加のため研究室紹介を充実し、学生へのPR強化を図る。
  • 研究分野での新たな取り組み
    工学研究科専攻横断プログラムの設立:複雑熱流体工学研究センター
    医療デバイス創製医工学研究センター:「使われる医療デバイス創製への結実」を目標
  • 2学期4クォーター制 30年4月より3年生までは完全4Q制。2年の2Qの必修科目を無くし(ギャップターム)
    留学しやすい環境造りが狙い。今年度実績はグローバル・チャレンジ・プログラム(GCP)への参画1名、自主的な語学留学13名、国内インターンシップ21名、KTCインターンシップ3名。学生のレポートからの推測ではあるが、必ずしも全員が充実した時間を過ごしているわけではないのが課題。
  • 学生の進路 学部卒業生108名 内進学74名 大学院修了生75名 内進学3名。
  • 工学部全体で3Dプリンタ10台の導入。
  • 4月から12月末までの学生受賞17名学生活動の報告・支援依頼があった。
  • 学生の自主活動への支援に感謝します。学生フォーミュラーチーム、レスキューロボットとも昨年の成績は芳しく なかったが今年の健闘を期待している。
  • 意見として、國光秀昭氏より、「課題解決型アクティブラーニング」への参加奨励の希望が出された。
 6.新旧会長交代挨拶
 
  • 冨田前会長
    冒頭の挨拶でも申し上げた通りこの4年間のご支援に感謝します。学生諸君とともに、会長卒業を喜ばしく思う。平田次期会長が熟知しているので、共に盛り上げて頂くことを期待している。会費を集めて手厚くサポートしていけたらありがたいと思う。4年間ありがとうございました。
  • 平田新会長
    冨田前会長とともに活性化に向けて活動してきたが、なかなか成果が出てきていない。会費について、高齢の方からの会費減少に対し、若年層からの増加が必要であるが、思うように集まらないのが実態。本日出席された会員各位を起点に、前後の会員を取り込めるよう期待している。微力ではありますが、機械クラブの存続・継承のため精力的に活動を継続していきますので会員の皆さまのご支援をお願い致します。

 閉会宣言(平田総務部会長(新会長))

【2】記念講演会
 講演者:ダイキン工業(株) 稲塚 徹 常務専任役員
    テクノロジー・イノベーションセンター 副センター長

演 題:『空調の技術革新、これまで、いま、これから』
<会社概要>
  • 創業1924年、設立1934年、大阪金属工業からダイキンに社名変更1963年。
    従業員67,000名でグローバル化を進めている。
  • 売上20,440億円の内、空調が90%(18,354億円)。その他、フッ素関連(1,568億円)や油圧・特機・IT(518億円)の技術分野がある。
  • 小型から大型までのラインアップを備え、要素部品も全て社内で調達できる唯一の会社である。
  • FUSIONと呼ばれる5年の中期計画をもとに活動しており、2015年目標だった、FUSION15では 計画の売上2兆円も達成、利益率も10%を超える状態になった。
<講演概要>
  1. これまで
    • ヒートポンプは熱効率の高い技術
      1の圧縮機動力を与えることで、外気から6の熱量を得、7の熱量を室内に供給できる
    • 欧州では、ヒートポンプがCO2削減のキー技術ととらえて、2050年にはヒートポンプで12.5ギガトンのCO2削減を計画している。
    • ハードウエアの技術開発は限界に近づきつつある。
      @圧縮機:スイング型、スクロール型などの種類があり、部品加工精度や形状の改良などを
       行ってきており、機械損失、漏れなども抑制でき、トータル80%以上の効率を得ている。
      A電動機:リラクタンスDC(IPM)モータの高度化で、低回転数でも効率が向上し
       90−95%の効率となっている
      B熱交換器:集積度(コンパクト化)が進み、アルミマイクロチャンネル型熱交換器を採用し
       始めている
      Cファン:形状開発が進んでいる。
       2次元翼→3次元翼→ディンプル型・・・→エアロウエーブ型 と進化し、騒音も抑制
       できている。
       これらの技術開発で、1991年の4kwエアコンでは、消費電力を67%削減できている。
       COPでも2002年に改良が進んだが、今は頭打ちの状態。
    • 効率を上げるには高い温度の冷媒を用いれば良いが、除湿量が下がっていく(湿度がとれない)。
      さらなる省エネに向けてはシステマティックに開発を進める必要がある。
  2. いま
    • この解決として、除湿機能を別に設ける潜顕分離空調を開発している。
      (潜熱と顕熱をそれぞれコントロールする)
    • 除湿機能としてはDESICAと呼ぶ、超コンパクト調湿外気処理機を開発した。
      これは、デシカントサイクルとヒートポンプサイクルをハイブリッドしたもの。
      特徴は、熱交換器のフィン(前述アルミマイクロチャンネル型)に吸湿剤をコーティングしている。
      湿度をとるときに吸着熱が発生するが蒸発熱側で使うことで、ヒートポンプの効率が良くなる
      吸湿剤を再生するときも同様。
    • この技術検証として、名古屋大学と共同でNEDOでの実験を行った。
    • 結果、空調機能は問題なく、室内の人のモニター結果も良好で、70%省エネを実証できた。
  3. これから
    • 時代の流れとしてZEB(Zero Energy Building)がある。
      発生する電力と消費する電力を相殺することで達成する。
    • 2030年には35兆円のマーケットになる、とも言われている。
    • ダイキンでは2015年に竣工したテクノロジー・イノベーションセンターにおいて、n−ZEB(ニアリーZEB)を達成している。
    • 特徴(省エネの工夫)は@潜顕分離空調A追尾架台発電B最適制御CヒートルーピングD外皮性能向上
    • 実測で81%の省エネ、平均でも70%省エネできている
    • LEED FACTS でplatinumを受賞
    • 海外でもドイツでの実証や英国での560台ヒートポンプ制御実験を行った。
      電源は、風力発電や太陽光などが多くなり、不安定になっている。その為にデマンドコントロール
      (需要者側の消費電力制御)が重要になっている。560台ヒートポンプ制御実験では232kw低減を1〜2Hキープできることが実証できた。
      これで電力価格低減(価格が高いときの消費抑制)にもつながる技術となることを想定している。
    • アジア地域においては、PM2.5や銅汚染有害物質など、空気汚染も進んでおり、この対策は今後の空調の重要な技術開発対象になっている。
<質疑応答>
Q1:効率化が進んでいることはよくわかった。吸収式空調との棲み分けを知りたい。
A1:吸収式は取り扱いが煩雑で、効率の改善が難しい。一方、ターボ圧縮機の効率改善がすすんで
   きており、吸収式冷凍機からターボ冷凍機に置き換わっているのが実態と考えている。