平成30年度 見学会(報告)
 
   毎年1回開催されている機械クラブの見学会が去る9月21日に実施された。今年は、ダイキン工業鞄aのご協力のもとダイキングループの技術革新の中核となるTICを訪問した。会社概要およびTICに関する説明の後、TIC内を見学させていただいた。本見学会は機械工学専攻との共催で実施しており、今回は教員・学生9人を含む、34人が参加した。
〔報告者:見学会部会 M㉚尾野守 M㉛山村佳成〕 
会社およびTIC概要説明
   ダイキン工業鰍ヘ空調機器とフッ素化学を両輪として、さらに空調で培った省エネ技術を応用した油圧機器事業や、業務高度化を図るITソリューション事業を行っており、ヨーロッパ、中国、アジア、オセアニア、北・中南米などに生産拠点を展開するグローバル企業である。今回訪問したTICはこれまで分散していた技術開発者を淀川製作所内に集約し、異業種・異分野の技術を持つ、国内外の大学、研究機関および企業と連携し、新たな価値創造を行う為に社内外の技術を集約する協創の場として、2015年11月に設立された。6階建て(延床面積:約48,000m2 甲子園の約4倍)の建物で、実験棟とオフィス棟が建物内で左右に隣接しており、デスクワークと実験が直結し、研究者としては、恵まれた環境となっている。また,研究施設でありながら、社外との交流を重視し、オフィス棟の1階から3階と6階は外部の方が自由に入館できるスペースとなっているのは特徴的である。
TIC外観

大会議室にて
TICの見学
   TICがある淀川製作所は、化学工場と機械工場が隣接しているあまり例のない工場で、化学工場については、さまざまな薬品を取り扱っていることから、地震や津波、風水害での漏液対策として、100億円投資を行い、環境の配慮がなされている。TIC の6Fにはフューチャーラボと呼ばれる100人程度着席できるスペースがあり、社外の有識者の方との技術交流の場をはじめとして、イベントや社内外のディスカッションの場などとして活用されている。また、この階には、7つのフェロー室があり、世界中の様々な分野の外部の有識者を招き入れ、交流を持たれており、2010年にノーベル化学賞を受賞した根岸英一氏もフェローとしてご指導されているとのこと。
   3階は知の森と呼ばれ、ダイキングループの最先端技術の展示スペースと社員の方と各分野の有識者やユーザの方が自由に意見交換できる打ち合わせスペースや250名収容の円形講義室(見学時は新人研修に使用中)がある。展示スペースでは、空調と化学技術と一体となりフッ素と二酸化炭素を用いた次世代空調機器の開発、特機事業の金属加工技術を利用した酸素ボンベなどのヘルスケア、エネルギ環境を考えた遮熱塗装、非フッ素コーティング開発など社会貢献を考えた幅広い技術紹介があった。
 4階はオフィス階であり、部署間の仕切りがないオープンスペースであり、それぞれの職場には打ち合わせができるテーブルが配置されている。また、天井は空調機器の配管はむき出し状態で、空調機器の改良を容易にするためということであり、既成概念にとらわれない自由な職場という印象をうけた。
 実験棟は、見学できなかったが、オフィスと直結した場所に、圧縮機、モータ、インバータなどの主要部品の実験室が隣接しており、総合力を発揮するために考えた環境であるとのこと。
 1階には啓発館があり、大阪金属工業所から現在に至る歩みが展示されている。創業者の山田晃氏が当時問題であった飯ごうの塗料の鉛レスから始められたこと、社是で定められた、最高の信用、進取の経営、明朗な人の和、など,創業者の方から引き継がれた素晴らし企業風土を感じた.

 工場見学後の質疑応答では、2000年に展開された米国工場の現状や、TICのような高度に環境に配慮した建屋への国の助成制度などの質問があり、丁寧に説明頂いた。

啓発館入り口モニュメント
"人を基軸に"


1Fエントランスにて
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懇親会
   TIC 内の来客食堂をお借りし、親睦会を実施した。機械クラブ平田会長のご挨拶の後、見学会の話題、各人の近況など学生の方も交え、和気藹々と親交を深めることができた。
 
謝辞
   今回、TIC見学について社内調整にご尽力いただいたダイキン工業の稲塚常務専任役員様、紀本様、概要説明とTIC見学で案内いただいた徳野様には改めて、この場をお借りし深謝いたします。