令和7年度機械クラブ「若手研究者は今」講演会(報告)
○日 時:令和7年12月6日(土)14時30分~15時45分
○場 所:神戸大学瀧川記念学術交流会館大会議室およびGoogle Meetによるハイブリッド開催
○司 会:浅野 等 教授
○出席者:(会員・教員)26名、(学生)29名
| 講 演 会 |
講演題目:「半導体集積回路とMEMS/マイクロマシンの融合」
講 師: 本間 浩章 准教授

講演内容
はじめに,これまでの経歴をご紹介いただいた.これまで電気電子関係の専攻をご卒業・ご修了されてきたとのことであった.
次に,半導体集積回路やMEMSについてご説明いただいた.1980年代からMEMSの研究が開始され,ダニよりも小さい歯車や非常に小さいモーターについてご紹介いただいた.MEMSによるアクチュエータやセンサを用いた異分野融合が進んでいることをご紹介いただいた.光ファイバー内視鏡,光スキャナー,ゲーム機,スマートフォンなど様々な分野でMEMS技術が利用されているとのことであった.今後もMEMS分野の発展は予想されており,MEMSセンサの市場規模は2028年にも200億ドルにも達し,航空宇宙・軍事分野にも発展が進んでいるとのことであった.
次に,大学院生時代の研究についてご紹介いただいた.大学院生時代に集積回路とMEMSを融合させる研究に携わられてきたとのことであった.先生が修了された豊橋技術科学大学では,日本でもトップのMEMS開発環境が整っていたとのことであった.集積回路と組み合わせることで,数百nmの格子幅を変化させることにより,一つのフィルターのみで様々な色を変化させることができる可変カラーフィルターを開発されたとのことであった.
次に,最近の先生の研究についてご紹介いただいた.微弱な振動から発電するMEMS振動エナジーハーベスターについてご紹介いただいた.モーターや自動販売機からの微弱振動から発電できるとのことであった.外部からの振動を拾い,独自に開発された均一に帯電させた電極との静電誘導によって発電することであった.この技術をIoT(Internet of Things)電源としての利用を広げていきたいとのことであった.現状ではIoT機器には小型電池が用いられており長期間利用することができないが,微弱振動を駆動源とするMEMS振動エナジーハーベスターであれば可能であるとのことであった.また,MEMS振動エナジーハーベスターは他の振動発電に比べて10倍以上の発電性能を持っているとのことであった.また,振動発電技術をトンネル内照明のボルトの緩みが出た際に警告信号を発する照明灯具への利用が進んでいるとのことであった.
今後の研究として,Beyond 5G/6Gの実現に向けて,無線端末(発電素子)の小型化・汎用性の高い振動発電素子・超低消費電力MEMSセンサが課題であるため,現在,自己発電型MEMSセンサや小型・汎用振動発電素子を開発されているとのことであった. 最後に,先生が現在考えている新しいIoTアプリケーションをご紹介いただいた.流通品の衝撃履歴収集システム,電池切れの心配がない人感センサ,配管漏水監視システムなどの社会が実現できるのではとのことであった.IoTをいつでもどこでも利用できる社会を目指しているとのことであり,様々な領域への展開が非常に期待できるご講演であった.
(M57 栗本)
アンケート結果

