見学部会報告
                                    ――住友金属工業(株) 製鋼所――

  見学部会は住友金属工業(株)製鋼所にて開催した。8月31日(土)、残暑きびしい中、進藤明夫名誉教授以下30数名が参加し、戸谷専務の概要説明後、鉄道車輌用車輪の圧延ライン、クランクシャフト型打鍛造ライン、台車組立ラインの見学と、岡方所長から「台車の構造、輪軸の構造」の講演を拝聴した。
  世界のトップレベルと言われるそれぞれの設備は古い建屋の中で殆ど無人化され、特に型打ラインは、背広でも作業出来るというPR通り、ビレット切断から製品完成まで完全無人化され、監視員数名を置くだけの生産性の高い工場であった。製造業は人件費の安い中国などへ工場を移設する傾向にあるが、製鋼所は人件費コストを大幅に削減し、日本でも世界を相手に十分勝ち残れる工場へと変身させていた。
  講演では、車輪の材質を決定する際、大正末期〜昭和初期に数分の1の模型の摩耗試験に膨大な時間をかけ、C0.6〜0.7%の高炭素鋼を決めたエピソードから、最新の防音車輪、動揺防止制御装置、限定車体傾斜制御システムなど、現場データに基く技術開発の詳細について説明を受けた。特に、動揺防止制御装置が採用された上越新幹線(先頭車、グリーン車)では、車内でテーブル上に鉛筆を立てても倒れないレベルまで振動を低減出来たと言うことには、一同感動させられた。
   
   見学後、同所内社員クラブにて、同所機械クラブ員7名(山村佳成、三沢泰久、田口 均、秦 利行、岸 佳孝、松井友吾、新保賢一)も参加し、懇談会を行った。7名の自己紹介後、技術論議で盛り上がり、3時間半が短く感じた見学会だった。          (見学部会 上原記)

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