この部会は「人生の後半の20年〜30年を心豊かに新たな夢をもって過ごす」ために「世の中のためになる行動を実践していこう」という事をめざして、本年は「環境問題について考える」をテーマとして活動を開始した。第一回部会を以下の通り開催し,22名の機械クラブメンバーの方々にご参加を頂き、活発な討議がなされた。

<<第1回部会プログラム>>
日時:H16年9月11日(土) 17:00〜20:00
場所:ひょうごボランタリープラザ
次第
1)「シニア活性部会について」…シニア活性部会長 東 謙介(M−H) シニアマーケティング研究所社長
2)講演「地球環境問題の本質を探る」…講師 長澤 忠彦(M−L) ATCグリーンエコプラザ環境アドバイザー
3)休 憩
4)自由討議…司会 機械クラブ会長 山登 英臣(M−D)
5)機械クラブ会長講評
議事概要
シニア活性部会について
 シニアを一応50歳以上と考え、総務庁などの統計データから見ると、日本のシニア人口は5,000万人強で40% を占めること。そのうち95%は元気者であり介護が必要な人は5%であること。金融資産1400兆のうち65%はシニ アが所有していること。しかし財布のひもは固く個人消費は全体の50%に満たず、しかも一人平均3500万円の遺産を 相続していること。など「元気なお金持ち」というイメージが浮かび上がってくる。
 観点を変えてシニア像を見ると知識・経験・人脈・意欲が豊富であり、世の中に貢献するポテンシャルが潜在化してい るように考えられる。このパワーを使って「環境問題」に取り組み、私たちが身近に取り組める課題を掘り起こして活動し ていくのがこの部会の目的であることなどを説明した。
地球環境問題の本質を探る
 環境の専門家である長澤忠彦講師から広範囲な環境問題を次の4つの分野にまとめて講演を実施した。
@「地球環境問題へのアプローチ」
◇地球環境問題への取り組みの歴史:1972年のストックホルム「人間環境宣言」から1997年の「京都議定書」 への動きとその間の著書「成長の限界」の紹介、とブルンラント委員会の「持続可能な開発」に至る経緯。
◇地球温暖化問題の問題点:CO2削減への日本の取り組み状況と小宮山宏東大教授が提唱している「ビジョン20 50」の根幹にある「エネルギー効率3倍増理論」の紹介
◇オゾン層の破壊:20億年かけて出来たオゾン層を人類は50年間で破壊しつつある。「モントリオール議定書」(1 987)で対策はなされたが、回復には数十年の年月が掛かる深刻な問題である。
◇生物多様性:環境問題のなかで生物資源・医薬品・DNAの保存・生態系の保全など最も重要な問題である。
◇地球の歴史:40億年前の地球誕生、10億年前の多細胞生物の出現、20万年前の人類の先祖誕生から現代に至る 歴史
◇水問題:地球上の60億人のうち12億人が「安全な水」を確保できていない現状。アフリカ・アジアの多くの地 域では人間の最低必要量20〜30リットルの水が確保できない(日本人は一人平均322リットルの水を使用している)「21世紀は水戦争の時代」(高橋裕著「地球の水が危ない」)
A「循環型社会の形成」−大量生産・大量消費・大量廃棄の見直し
◇循環型社会推進基本法(3Rの推進と最終処分量75%削減)および資源有効利用促進法の制定
◇各種リサイクル法(容器包装・家電・建設・食品・パソコン・自動車)およびグリーン購入法の制定
B「残された問題・新たな問題」
◇残された問題は大気汚染(NOX・SPM)および水質汚染(閉鎖系水域の富栄養化問題)
◇新たな問題は環境ホルモン・PCBなどの塩素系有機化学物質問題
C「環境倫理」とは・・・時間切れとなり今回は割愛
自由討議での主な討議・質疑
◇環境問題のバイブル的著書「成長の限界」に関する現状認識とご感想の発表
◇小宮山宏氏が提唱している「エネルギー効率を今の3倍に高めてCO2削減を可能にする」という理論に対する熱力学面からの検証の必要性に関する議論
◇CO2の深海固定技術ハイドレートに関する質疑
◇全世界の海水が放出・吸収している数千億トン/年のCO2と人類が化石燃料の利用により発生させている60億トンのCO2との関連に関する議論
◇原子力発電からもCO2が発生するかどうかの質疑
◇ゴミ焼却発電から発生するダイオキシン問題の質疑
◇3R(Reduce Reuse Recycle)の重要性に関する議論
機械クラブ会長講評
◇本日の部会では結論を出すことはせずに、お互いに活発な議論を行うことに重点をおいた。
◇「シニア活性化」という命題を同窓会としてどのように活動していくかの課題があるが、皆で議論する中で方向付けをしたい。
◇次回は「自動車リサイクル」の見学を計画しているが、今後の部会では「シニアによるニュービジネス創出」の紹介なども計画に入れてもらいたいと考えている。
次回の予定
◇ポートアイランド2期工事にある「神戸ポートリサイクル」「兵庫オートリサイクル」の自動車リサイクル工場および「先端医療センター」の見学
◇開催予定時期はH17年2月〜3月初旬(兵庫オートリサイクルは1月完工の予定であるが,若干工事が遅れているため開催時期は流動的)
◇第二回部会は見学後懇親会を行う予定としている。