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日本および世界の鉄鋼業の歩み
世界の粗鋼生産量は戦後1973年7億トンにまで増加したが、その後8億トンになるのに約25年を
要した。この間日本の鉄鋼業は年産約1億トンで推移したものの
高炉メーカーのシェアは10%低下した。一方主要顧客である自動車メーカーは統合が進み6グループで世界シェアの75%を占める
規模になり購買力を高めてゆく。さらに
鉄鉱石、石炭の供給会社の統合も進み鉄鉱石は3グループで80%、石炭は4社で50%の世界シェアを占めることになる。これにより
2000年当時は、生産能力過剰下で統合が遅れ競争が厳しい高炉メーカーは巨大な原材料サプライヤーと顧客に挟まれて、価格交渉力
が低下し、売値の大幅な低下により、収益が低下して企業としての存続の基盤さえ
危うくなっていた。
JFEスチールの誕生
1980〜2000年の間高炉各社は護送船団方式で生産調整を実施したため、各社のシェアは変化しなかったが、国内価格が1990年代
継続的に低下し、企業としての体力を消耗して行った。とどめはゴーンショックに始まる自動車用鋼板の大幅な価格低下による収益の
急速かつ大幅な悪化により、企業存続の為に日本の高炉の再編統合が進むことになる。こうして2003年4月日本鋼管と川崎製鉄の統合
によりJFEスチールが誕生した。 JFEスチール(西日本製鉄所:倉敷地区)
統合を成功させた鍵
企業文化の全く異なる高炉2社の統合が成功し、短期間に業績を回復した要因は
・東西2製鉄所体制(千葉、京浜、倉敷、福山→東日本、西日本)
…1製鉄所2地区を1人の所長で運営することで経営資源を一元管理したこと
・両地区の部課長入れ替え人事
…部課長入れ替えで技術・文化・人等の早期交流融合を実現した
・高い目標設定と収益管理の仕組み
…半期毎収益計画の作成と月次フォロー(製鉄所別部長別収益管理)
…セクタ制度(品種別収益管理)
・経営速度の向上(統合前に高炉2基を廃棄、統合後13ライン休止)
・中国の鉄鋼需要の拡大その他
今後の課題
・中国・韓国の追い上げへの対応
・世界の高炉の巨大化への対応(ミッタール,アルセロール他)
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