平成20年度機械クラブ 六甲祭協賛講演会(報告)
 開催年月日 : 平成20年11月09日(日)  
場所 : 六甲台第T学舎 2階232教室 

恒例の六甲祭協賛講演会が六甲祭で賑わう六甲台学舎において開催された。参加者は約40名であった。
今年も昨年同様, 講演会に先立って,学生の自主活動(学生フォーミュラチームとレスキューロボットチーム )の 活動報告が行われ,参加者の興味を惹いた。これらの概要を以下に示す。

◆講演会(「機械工学先進研究」紹介)
○講演題目:デザインワークショップの体験と創造性研究最前線の紹介
○講   師:田浦 俊春 教授 (機械工学専攻)
○講演要旨
 私の研究の興味は,エンジニアの設計能力のようなものを,経験主義的に語るのではなく,学問として とらえてみたい,というところにあります(ちなみに,私は9年間程のエンジニアリングの実務経験がありますので,経験は重要だ と思うし,尊重しています).
 では,設計に必要な知識や能力とは何でしょうか?たとえば,自動車を例にとってみると,エンジン や駆動系のメカニズムや原理があげられます.いわゆる力学です.もちろん,そのような知識は必要ですが,はたして,それだけで, 新しい魅力的な自動車を設計できるでしょうか? 言い換えると,自動車を設計するための知識は,自動車に関する知識だけで十分で しょうか? 
 私は,人工物の構造に関する知識に対して,創造のための意思決定に関する知識を「人の知識」と呼び,その性質につい て研究をしています. すなわち,対象に依存しない一般的な設計方法論はあるのか? 具体的にいうと,創造的な意思決定のパターン はあるのか?ということです.
 一般的に,このような研究には,被験者に考えていることをしゃべりながら設計をしてもらい,その 発話を記録して分析する認知科学的な実験方法(プロトコル分析といいます)が用いられますが,当研究室では,それに加えて,計 算機によるシミュレーションを試みています.
 最近では,インターネット検索技術への応用などを目的に,言葉と言葉の関係を記述 した辞書(動物は猫の抽象である,など)が開発されています. 人間の思考過程は,言葉から言葉への連想として説明される場合が 多いのですが,それは,辞書のなかの言葉と言葉の間のリンクとして計算機を使ってたどれるのではないかと私どもは考えました.
 つまり,計算機のなかに,思考空間を仮想的にモデリングできるのではないかと思ったのです. 辞書は数十万語の規模であり,また, リンクの探索もかなり広範囲になりますので,シミュレーションにはかなりの計算時間がかかります. 人間の思考は頭の中で行なわ れますので,その様子を直接観察することはできませんが,シミュレーションですと,いろいろな仮説を自由に検討することができ ます. 本研究室は,本手法を世界に先駆けて開拓しており,現在,その基本的手法を確立しているところです.

 

Fig.1 研究の方法

Fig.2 モデリング手法(3/3)
<図をクリックすると拡大されます>
 
◆「学生の自主活動」報告
◇学生フォーミュラチーム(報告者:古川 正明 君)
 私たちのチームは,今年9月10(水)〜13日(土)に静岡県エコパで開催された第6回全日本学生フォーミュラ大会に参加しました.
 今大会で5回目の参加となりますが,今回はチーム史上初のアクセラレーション走行を果たすことができました.また,スキ ッドパッド走行は叶いませんでしたが,エンデュランス(耐久走)を間一髪で完走し,過去最高順位となる総合18位を獲得することがで きました.この好成績の背景には,チームの組織力向上があったと考えております. 車両の性能面だけでなく,スケジュール管理, 設計パート毎によるグループミーティングを実施するなど,運営面にも力を入れました.
しかしながら,まだまだ課題は山積みです.今回の結果に満足することなく,次年度は更なる飛躍を目指して尽力致します.
◇レスキューロボットチーム(報告者:山口 明宏 君)
 今年の神戸大学ロボット研究会“六甲おろし”の活動報告として、8月9日(土),10日(日)に三宮サンボーホールで開催された第8回 レスキューロボットコンテスト(本選)の結果を報告しました。
 今年の大会では、チーム創設以来の目標であったコンテストの最高賞「レスキュー工学大賞」を受賞し、また 他にも“RSコンポーネンツ杯”,“ベストパフォーマンス賞”を受賞するなど、高い評価をえることができました。
 講演では大会で大活躍した3号機ロボット“こがらし”の実演も行い ました。
  
学生フォーミュラチーム                レスキューロボットチーム

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