平成22年度機械クラブ総会講演会(概要)
 
日 時:平成23年3月25日(金)17:20〜18:20
場 所:兵庫県私学会館
講 師:大阪ガス エネルギー技術研究所 エグゼクティブリサーチャー 竹森 利和氏 (M院16)
演 題:「大阪ガスの技術開発」〜コア技術を伝承・蓄積し、次代のニーズに応える〜
出席者:約70名

講演概要
  1905年の創業時にはガス販売量の80%が照明用であり、「明治末年には浪速の街に8万9千台のガス灯(図1参照)があった」と される。しかし事業の拡大には夜の照明用だけでは不十分であり、大正年間、厨房用のガス需要開拓のために、「竈(かまど)仕込 み用ガス火口」「ガスレンジ」などを商品化。さらに、暖房用の需要開拓のためにストープ、昭和に入り、クリーンヒーターさら にはファンヒーター、床暖房、平成には浴室暖房乾燥機、ミストサウナを次々に商品化した。
  また業務用・産業用でも同様。熱・ 蒸気などの需要開拓のため、ガラス加工等のための各種の燃焼技術を開発。ガス空調の需要開拓のため、省エネ技術の蓄積を行い、 吸収式冷凍機やガスヒートポンプを商品化した。当社の歴史は、まさに、技術開発で需要を開拓してきた歴史であった。
  2003年には 家庭用のエンジンによるコージェネシステムを発売した。小型のガスエンジンにより発電し、その排熱を暖房・給湯に有効利用し、 電気を含めた家全体の省エネを実現した。2009年6月には、理想的なクリーンエネルギーである燃料電池を用いたコージェネシステ ムの販売を開始した(図2参照)。今後、系統電源を越える発電効率の燃料電池(SOFC)を商品化することで、さらなる省エネ(CO.削減) を図ろうとしている。
  一方、創業開始からの100年間に、ガスの原料は石炭、石油そして天然ガスへと変遷してきた。各原料に対応して技術開発を行い、 いくつかのコア技術が育ち伝承され進化し、新しい時代の要請にこたえた。石炭ガス時代の夕ールやピッチなどの副産物の利用技術 は、「炭素繊維やフルオレンなどの新素材事業」に、石油ガス時代のガス化触媒技術は、「燃料電池の脱硫装置開発」に進化し、 天然ガス時代の冷熱利用技術は「空気分離事業や利用率100%の冷熱利用技術」に進化した。その他、エンジン関連の技術・シミュレ ーション技術・設備の診断技術や、人体熱モデルなどのガス機器の効用評価技術を蓄積・継承し、次代の二ーズに応えてきた。
  時代は変わるが、これからも高い技術力と、事業に対する豊かな構想力が求められることは問違いない。表面的なものに惑わされる ことなく、柔軟な発想のもと、技術をべースに堂々と事業展開していく企業であり続けたい。
         図 1                        図 2

【総会のページに戻る】  【”ARCHIVES”に戻る】