<平成23年度機械クラブ> 「若手研究者はいま」講演会(報告) |
開催年月日 : 平成23年12月10日(土) 15:00-17:00 開 催 場 所 : 工学部5W-301講義室 |
村川 英樹 助教と林 公祐 助教を講師に迎えて,恒例の「若手研究者はいま」講演会が開催されました。 また,講演会終了後は講師のお二人も参加され,AMEC3で和やかな雰囲気のもとで懇親会が開催されました。 |
◆講演T:熱流動現象を把握するための計測技術〜超音波流速分布計測法と中性子ラジオグラフィ〜 (講師:神戸大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 村川 英樹 助教) | ||
講演要旨: 超音波は様々な計測に用いられています. 医療分野では診断,工学分野においても探傷,流量計などが挙げられます. 本研究では,流体の一次元瞬時速度分布が計測可能な超音波流速分布計測法に着目し,計測精度向上や,二相流計測への応用を行っています. 計測には超音波ドップラ法を用いていますが,実際には反射体が動くことで生じる反射波の位相変化を計測しています(図1). 超音波はレーザと異なり非常に周波数スペクトルが広く,またノイズが多く含まれます. そのため周波数解析手法の違いによって,測定精度に影響が生じます. 時間分解能の向上を目指し周波数解析手法の検討を行った結果,自己相関法を用いることで数ミリ秒程度の時間分解能まで向上させる事が出来ました. 本手法を水平ダクト内気液二相流計測に適用(図2)し,気泡通過に伴う液相速度分布変化および剪断応力への影響について検討しています. 今後の展開として,不透明な非ニュートン流体の流動計測などへの応用が挙げられます. 中性子ラジオグラフィは,金属で構成された機械内部の水分布を計測できることから,自動車用などへの実用化に向け研究が進められている,固体高分子型燃料電池(PEFC)内の水輸送現象の解明には,非常に有効なツールです. そこで,従来に比べ高空間分解能で計測できる技術,連続的に三次元CT計測する技術など,計測技術の開発や,水輸送現象の解明を行ってきました. PEFC内部に水が滞留することで,特に並列流路では気流の偏流が懸念されます. そこでPEFC面内方向の二次元水分布を定量計測し,それに基づき流路・GDLにおける気流分布を算出するネットワークモデルの構築を行っています. これにより各流路に滞留する水と,セル電圧,ガス流量との関係などを明らかにしてきました(図3). 最後に,このような発表の機会を与えて下さったKTCM藪会長を始め,KTCM会員の皆様に感謝申し上げます. |
◆講演U:気泡・液滴シミュレーション技術の開発とその応用 (講師:神戸大学大学院 工学専攻科 機械工学専攻 林 公祐 助教) | ||
講演要旨: 円管内の気泡や液滴は,その大きさに比べて非常に大きな容器内液中を上昇する場合に比べて,壁効果によって上昇速度が遅くなります. また,気泡・液滴が大きくなると,横方向には広がることができないため,縦に伸び,砲弾のような形状になります. 砲弾型気泡は多分野にわたって多くの功績を残したG. I. テイラーの名前をとって,テイラー気泡と呼ばれています. 本講演では,管径よりも小さな径の気泡及び液滴から,テイラー気泡・液滴に至るまで,非常に広範囲の円管内気泡・液滴の上昇速度をいかにモデル化するか,またその中で実験的に評価しなければならない係数を詳細シミュレーション技術を利用して求める方法を説明しました. また,最近の展開として,界面活性剤が及ぼす影響を考慮した気泡・液滴運動シミュレーション技術の開発とその性能評価を紹介しました.(図1) さらに本手法を用いてテイラー気泡運動に及ぼす界面活性剤の影響を検討した結果について簡単に説明しました.(図2) 最後に本講演の機会を与えて下さったKTCMの皆様に感謝申し上げます. |