<平成24年度機械クラブ> 「若手研究者はいま」講演会(報告) |
開催年月日 : 平成24年12月8日(土) 15:00-17:00 開 催 場 所 : 工学部5W-301講義室 |
佐藤隆太助教と杉本勝美助教を講師に迎えて,恒例の「若手研究者はいま」講演会が開催されました。 講演会終了後は講師の二人も参加され,AMEC3で懇親会が開催されましたが、今回は学生フォーミュラチームのメンバー が「日頃の支援に対して、感謝の気持ちを表したい」と懇親会に参加し、鍋料理を振る舞ってくれましたので、いつも以上に 賑やかに、かつ和気藹々と開催することができました。 |
◆講演T:世界の産業を支える工作機械技
術の研究 (講師:神戸大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 佐藤 隆太 助教) | ||
講演要旨: 数値制御工作機械は除去加工により金属を所望の形状に作り上げる機械であり,様々な製品の金型や自動車部品,航空機部品等 の製造には必ず用いられます.とくに切削加工を行う工作機械については,1982年から2008年までの間,日本が世界一の生産国で あり,世界の産業を支え続けてきました.2009年以降は生産額世界一の座を中国にあけ渡しましたが,日本の技術的な優位性は今 後も保たれるものと予想されます. 世界の工作機械の生産額は増減を繰り返しながらも右肩上がりの状況にあります.最近では,スマートフォンなどの筐体の加工 法が,これまでの金型による成型加工から工作機械による削りだし加工に変化しており,数万台の小形マシニングセンタを用いた 精密加工が行われています.加工法が削りだし加工に変化した大きな理由は,設計変更への対応の速さや製品の質感であり,この ような加工では,加工精度もさることながら仕上げ加工面の品位が大きな問題となります. さらに,航空機業界では今後20年の間に2万機近くの新規機材の需要があると予測されており,複雑な形状をもつタービンブレ ードなどの航空機部品の加工のために,回転軸を有する多軸制御工作機械や,耐熱合金のように削り難い材料の加工技術に対する 需要がますます高まっています. 数値制御工作機械による加工では,数値制御工作機械の運動誤差がそのまま製品に転写されるため,製品の品質向上のためには 工作機械の運動誤差の低減が必須です.私は,これまでに摩擦力の影響により生じる代表的な運動誤差である「象限突起」につい て,その発生原理を解明したほか,摩擦モデルに基づく補正方法を開発して実用化にまでつなげてきました.さらに,運動誤差の 特性により,同じ大きさの運動誤差でも加工面に及ぼす影響が異なることなどを明らかにしました.最近では工作機械の消費電力 とその削減に関する研究にも取組んでおり,日本の工作機械技術の向上を通じて世界の産業の進歩に貢献することを目指していま す. 最後になりましたが,本講演の機会を与えて下さったKTCMの皆様に感謝申し上げます. |