平成24年度機械クラブ総会講演会(概要) | ||||
◆日 時:平成25年3月26日(火)17:20〜18:20 | ||||
◆場 所:兵庫県私学会館 | ||||
◆講 師:住友電気工業(株) 常任顧問 倉阪 克秀氏(MP) | ||||
◆演 題:「最近の切削加工と工具材料及びそのリサイクル」 | ||||
◆出席者:約70名 | ||||
◆講演概要◆ 【スライド抜粋へ】・・・これはPDFファイルです | ||||
切削工具は自動車産業、エネルギー産業など様々な産業分野で使用されており、製造業を支える重要な製品であると言えます。今回は切削加工や工具に関する最近の動向、当社の切削工具事業の全体像、切削工具の主要材質である超硬合金のリサイクルについて講演を行いました。 切削加工については学術の分野でも従来から様々な研究が進められてきましたが、それらをベースに最近は有限要素法を使った切りくずシミュレーションや、びびり振動抑制などの実応用が進行しています。また社会や産業界でのニーズを背景に、環境対応加工、省エネルギー加工、光学や医療用途の微細加工に関する研究も盛んになっています。当社でもこれらの分野に注力し、種々の切削工具開発を進めています。 切削工具にはさまざまな材質が用いられますが、耐摩耗性と靱性がトレードオフの関係となるため、両者の特性を向上させるべく新材質の開発が継続的に進められています。今回はその中からコーティング工具と超高圧合成工具について紹介しました。前者は超硬合金等の母材の上にセラミックスコーティングを施したものであり、耐摩耗性向上を図るため厚膜化や硬度、耐熱性の向上に取り組んできました。さらに最近では潤滑性の付与など新たな機能に着目した開発を進めています。後者については、多結晶ダイヤモンド(PCD)などを開発してきましたが、さらに最近になって結晶同士が直接接合しているバインダレスPCDを開発しました。単結晶ダイヤモンドよりも高硬度であるなど特異な特性を有しており、超硬合金金型加工用など工具への適用を進めています。 これら切削工具は、当社では国内マザー工場および世界各地の製造拠点にて生産しています。また顧客に対してはそれら工具を単に販売するだけでなく、テストカットやツーリング提案、教育訓練などの機能(ツールエンジニアリングサービス)を合わせて提供しており、その拠点となるセンターも国内だけでなく世界各地に展開しています。 一方で切削工具事業のリスクの1つとして原材料の確保が挙げられます。特に超硬合金の主原料であるタングステンは中国に資源が偏在しており、世界的な需要増大とあいまって近年原料粉の価格が高騰しています。当社ではいち早く超硬合金のリサイクル事業に取り組み、2種類のリサイクル法を確立して超硬工具の国内販売量の全量をリサイクルできる体制を整えています。 今後の事業展開については、グローバル市場の拡大に合わせ、自社の強みを活かせるビジネスモデルを構築しながら事業をマネージしていく事が必要です。このためにも、世界で競争できるコア技術を開発・育成し、更にイノベイションに発展させる能力を自社及び国内に有することが重要と考えています。 | ||||
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