平成28年度 機械クラブ東京支部秋の見学会(報告)
 


   機械クラブ東京支部の今年度のイベントとして、9月14日(水)に、防衛省における陸上装備の試験・研究現場の見学会を開催しました。
 神戸から冨田会長にもお越し頂き、総勢14名で防衛省防衛装備庁陸上装備研究所を見学しました。陸上装備研究所は、東京駅から西へ1時間少々の神奈川県相模原市にあり、昨年発足した防衛装備庁の研究機関として、陸上自衛隊の戦車、装甲車、火砲、弾薬等の調査研究・シミュレーション・性能試験を行っています。神戸大学OBで防衛省において、最新鋭10式戦車の開発を担当された井上幸夫さん(M㉙)のご調整により、午後半日を使って防衛省の技官の方々から懇切丁寧な説明を頂きました。同じくOBの渡辺嵩智さん(M(62))には、本研究所の研究員として担当されている遠隔操作作業車両システムについて説明頂きました。
 一同で見学したのは、世界的に高性能な10式戦車、生物・化学・核攻撃に対処する遠隔操作作業車両、軽量戦闘車両、爆弾の発見除去システム、もはや電子部品と言える信管の衝撃シミュレータです。
 まず、なにより実物・現物の迫力に一同大興奮しました。10式戦車は外見がとてもスリムで低く、3名で44トンもある重量物を70kmで疾走させ、情報技術によりあらゆる姿勢で標的を捉えます。遠隔操作作業車両は今後、災害時にも威力を発揮するでしょう。空輸可能なハイブリッドの軽量戦闘車両は尖閣等の島嶼防衛に活躍すると思います。爆弾の発見除去システムは人命の「盾」となりますね。信管の衝撃シミュレータの見学では、神戸大学工学部機械工学科の実験室を思い出しました。各種シミュレータが様々な効率化・安全化を実現していました。
 見学を通じて感じたことは、陸上自衛隊を取り巻く環境が、冷戦に対する対応から、島嶼・水際・テロ・核攻撃へと大きく変化し、装備自体がこれに応じて大胆に変革していることでした。また、モデリングやシミュレーションといった技術が、民間企業にも増して最大活用されていることです。そして、攻撃(矛)だけでなく、人命を守る(盾)技術に注力していることが印象的でした。
 見学会と言うものは、その領域に精通し本気で取り組んでおられる方の生の声で解説が聞ける、またとない機会であることを再認識しました。また、見学会では初めてお会いする方も多く、大変よい機会となりました。見学会後の懇親会でも冨田会長を囲んでなごやかに語らいが続きました。ぜひ、また、関東圏で様々な見学会を企画したいと思います。
 
(文責 M㉘近藤 和憲)
 
 
出席者
( )内卒業研究でお世話になった先生(敬称略)
MO冨田佳宏(進藤明夫)、MM田中正夫(速水恵次)、MS伴慎一郎(川井良次)、MS吉田勝(岩田一明)
M㉓遠山克己(木村雄吉)、M㉓仲田卓史(木村雄吉)、M㉗前塚洋(木村雄吉)、M㉘近藤和憲(川井良次)
M㉙井上幸夫(村田英人)、M㉚中野則男(木村雄吉)、PK岡崎泰典(猪飼 靖)、M㉝谷口芳久(猪飼 靖)
M㊱浜田貴弘(村田英人)、P㉑守屋信彦(猪飼 靖)、M(62)渡辺嵩智(白瀬敬一)
 
 
後列左から ㉝谷口 ㉙井上 PK岡崎 O冨田 ㉓仲田     ㊱浜田 M田中 ㉚中野 ㉘近藤 P㉑守屋
前列左から  S吉田  ㉓遠山            S伴  ㉗前塚
防衛省防衛装備庁陸上装備研究所前で