平成28年度機械クラブ 六甲祭協賛講演会(報告) |
開催日 : 平成28年11月12日(土)10:30-12:00
場所 : 神戸大学 六甲台 第I学舎206 |
恒例の六甲祭協賛講演会が開催されました.
講演会は六甲台本館第I学舎で行われました.
例年通り,向井敏司教授の講演会に加えて,学生の自主活動であるレスキューロボット,学生フォーミュラの活動について報告がありました.
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◆講演会…「機械工学先進研究」紹介 (司会:白瀬 敬一 教授) ○講演題目:生体内分解性デバイスの材料設計 | ||
○講 師: 向井 敏司 教授(先端融合研究環) | ||
○講演要旨: 向井敏司教授が現在取り組まれている生体内分解性デバイスの研究開発の最前線について,ご講演をいただいた.金属材料の特性の解説から初めて,従来の人工デバイスの特徴の解説,最新の生体内分解性デバイスの研究開発に関する解説,さらには,医工連携の取り組みについてわかりやすくご講演をいただいた. まず,従来の人工デバイスに用いられていたチタン合金についてご説明いただいた.チタン合金などの金属材料は長期間にわたり高強度を維持するため,事故や疾患により治療が必要となった生体組織の支持および固定用のデバイスなどとして,医療現場で数多く使用されている.一方で,生体組織が修復された後には人工デバイスは不要であり,CT撮像に支障を生じるだけではなく,場合によっては炎症の原因となる. 次に,生体内分解性デバイスの研究開発についてご説明いただいた.従来の人工デバイスに用いられていたチタン合金の問題点から,時間の経過と共に生体内で分解され,体外に排出される生体内分解性デバイスが最近注目されている.向井敏司教授の研究室では,生体必須元素であり,生体内分解性を示すマグネシウムに着目して,各デバイスへの適用に向けた研究を実施している.主に,骨固定用プレートシステム,組織拡張用ステント,軟組織固定用クリップを対象として,必要とされる機能や機械的性質を付与するための材料設計や組織制御について実用例を交えてご紹介いただいた. 最後に,医工連携の取り組みについてご説明いただいた.現在,先端融合研究環内にて,医療デバイス創成医工学研究の推進の取り組みが行われており,医学研究科と工学研究科が連携して研究開発を実施している.向井敏司教授が代表となり,バイオマテリアル・メディカルエンジニアリング研究チームを発足し,機械工学専攻の教員も積極的に参画し,研究開発を推進している. ご講演の後の質疑応答では聴講された方々から研究の早期実用化を期待される声が多かった.(M56 西田) |
◆「学生の自主活動」報告 (司会:白瀬 敬一 教授) | |
◇レスキューロボットチーム(報告者:竹内 優佳子) 神戸大学ロボット研究会「六甲おろし」は,2016年8月6日(土)・7日(日)に神戸サンボーホールで開催された第16回レスキューロボットコンテストに出場致しました. 時間切れで救助ができず予選敗退という悔しい結果になった第15回大会の反省から,第16回大会に向けてのコンセプトは「はやい救助」としました.このコンセプトは,ロボットの動作の素早さだけではなく,情報収集や瓦礫除去といった救助活動の各プロセスの安定化・時間短縮を目標としたものです.要救助者の安全確保を重視したうえでの救助活動全体の高速化を図り,4機のロボットで大会に挑みました. 1号機「Cube」は上下・前後に動かすほかに左右・前後に傾けることができるベルトコンベアで,家の中や不安定な路面に取り残された要救助者を救助します.2号機「Rectangle」は,2つの救助用アームをマスタースレイブによって動作し,直感的かつ精密な動きでデリケートな状況に対応します.3号機「Prism」は2つのカメラとヘッドマウントディスプレイであるOculus Riftを利用した立体視が特徴の機体です.映像から距離,角度の情報を引き出すことができます.また,単体で瓦礫除去や救助を行うこともできます.4号機「Dot」は小型軽量の情報収集機です.カメラ,マイク,ガスセンサなどを搭載し,小さな体を活かした探索活動や他の機体の補助を行います. また,以上の4機に搭載したカメラやセンサから得られる情報を今年度新たに構築した情報共有システムを用いてオペレータ間でやり取りし,連携して救助にあたりました. その結果,総合ポイントが3位,2号機「Rectangle」がベストロボット賞を,情報知能工学科3年の園田大樹がベストプレゼンテーション賞を受賞することができました. 最後に、機械クラブの皆様、日頃より私達の活動にご理解、ご援助いただき、深く感謝申し上げます。今年度の結果から得た多くの教訓をしっかりと心に留め、来年の躍進に向けて活動を行っていきますので、これからも温かいご声援よろしくお願い致します。 | |
◇学生フォーミュラチーム(報告者:永井 紳一朗) 私達神戸大学学生フォーミュラチームFORTEKは,2016年9月初旬に開催されました,第14回全日本学生フォーミュラ大会に参戦致しましたのでその成果を報告いたします. 私達FORTEKは例年全日本学生フォーミュラ大会に出場し,機械クラブの皆様方をはじめ,様々な方々にご支援を頂きながら活動しております.昨年度大会では「総合成績6位」をチームの目標として活動しておりましたが,工作センターの建て替えによる作業時間の減少や,チームメンバーの少なさなどからマシンの信頼性を向上させることができないまま大会へ臨みました.その結果,大会本番でエンジンブローを起こしてしまい,総合36位と満足のいく結果を残すことができませんでした. 今年度大会では,昨年度掲げた「総合成績6位」を今年こそ獲得することを目標として活動してまいりました.マシンのコンセプトには,昨年度コンセプトに掲げていた”Fun to Ride”をベースに,より良いマシンを作っていくことを考え,”安心と信頼によるさらなる”Fun”の追求“としました. 2016年度プロジェクトでは,昨年度マシンの信頼性を上げられなかったのはスケジュール管理の面に問題があると考え,同じミスを起こさないためにも,設計・製作・試走ごとに徹底したスケジュール管理を行うよう努めました.また,人数の少なさを克服するために新歓活動にも力を注ぎました.その結果,チーム史上最速である4月下旬にマシンを初走行させることができ,また,新入生は,経営学部・海事科学部など様々な学部学科から12名も入部しました.4月以降の試走では新入生に様々な経験を積ませることができ,2016年度車両の信頼性を高められたとともに,来年以降へつながる試走会ができました. 大会では,実際に車両を走らせる動的競技に出場するために必要となる厳しい技術車検を一発で合格することができ,また,車両の設計へのアプローチやコスト面などを評価される静的競技では素晴らしい成績を残すことができ,静的競技だけでの順位は参加大学106校中2位を獲得することができました.動的競技では,途中天候に恵まれず,思ったようにスコアを伸ばせなかった競技もありましたが,無事すべての競技を完走することができ,総合成績8位という結果に終わりました.目標であった6位にわずかに届かず悔しかった反面,チーム史上最高となる順位を獲得することができ,チームとして着実に成長することができたと感じられました. 今年度の結果から,スケジュール管理をきっちりと行うこと,また,車両の初走行をできるだけ早い時期に行うことがより良い成績を残すための一つの有効な手段であることが分かりました.来年以降もより高い成績を目指しチームメンバー全員一丸となって邁進してまいります. 最後に多大なるご支援を頂いております機械クラブの皆様にチームメンバー一同からお礼申し上げます.今後とも私達神戸大学学生フォーミュラチームFORTEKをよろしくお願いします. |