平成29年度機械クラブ 六甲祭協賛講演会(報告)
 開催日 : 平成29年11月11日(土)10:00-11:50       
場所 : 神戸大学 六甲台 第I学舎206 

恒例の六甲祭協賛講演会が開催されました. 講演会は六甲台本館第I学舎で行われました. 例年通り,浅野等准教授の講演会に加えて,学生の自主活動であるレスキューロボット,学生フォーミュラの活動および機械クラブ国際活動奨励賞について報告がありました.

                 
◆講演会…「機械工学先進研究」紹介 (司会:細川 茂雄 准教授)
○講演題目:宇宙構造物用二相流体冷却システムの実現に向けて
○講  師: 浅野 等 准教授
○講演要旨
浅野等准教授が現在取り組まれている気液二相流の流動特性の研究開発の最前線について,ご講演をいただいた.

宇宙構造物の長大化,使用エネルギーの増大に対応するため,システム軽量化が可能な熱輸送システムが必要とされている点について,わかりやすくご説明いただいた.蒸発潜熱を利用する二相流システムが有効だが,微小重力環境では浮力が消失するため,システム設計のためには気液二相流の界面構造に及ぼす重力の影響を把握することが重要であり,気液二相流の流動特性に対する支配力(重力,表面張力,慣性力)についてご説明いただいた.

微小重力環境下での気液二相流の挙動を解明するために,航空機の放物線飛行を利用した微小重力場での実験の様子をご紹介いただいた.航空機の放物線飛行を利用した微小重力場での実験では,微小重力場の時間が非常に短いために,限られた時間内に実験を行う大変さをご説明いただいた.宇宙空間の環境を模擬した試験を地上で行うための非常に大がかりな実験であり,大変興味深く感じた.

最後に,JAXAのプロジェクトの取り組みと宇宙ステーションでの二相流体ループの実証実験についてご紹介いただいた.宇宙ステーションでの実験では,宇宙ステーションに駐在している宇宙飛行士に実施してもらうが,実験に関する機械の操作は地球からの遠隔操作で行い,宇宙飛行士は機材の出し入れなどの簡単な操作のみ行う.また,実験を実施できる時間は限られているため,綿密な計画が必要である.

ご講演の後の質疑応答では聴講された方々から宇宙ステーションで実験を行うことの難しさに関する質問が多く,関心の高さがうかがえた.(M56 西田)

◆「学生の自主活動」報告 (司会:細川 茂雄 准教授)
◇レスキューロボットチーム(報告者:吉岡 宏樹)
神戸大学ロボット研究会「六甲おろし」は,2017年6月25日(日)に大阪府立北大阪高等職業技術専門校で開催された第17回レスキューロボットコンテスト(予選)に出場いたしました.

本選でよい結果を残すことができた第16回での方針を引き継ぎつつ,一部のメンバーの役割がはっきりしていなかったため競技中何をすればよいかわからない,という状況があったため,第17回では「適材適所」というコンセプトを掲げ,個々のメンバー,個々のロボットに最適な役割を分担して,4機のロボットで競技に挑戦しました.

1号機は,瓦礫除去など路上整備や支援に特化した機体を目指しました.状況に応じて最適な機体にできるようアーム部分を自在に取り換えられるように設計しました.

2号機は,昨年第16回の大会で非常によい成果をあげることができたため,改良を加えることで再利用しました.ハードウェアでの変更は加えずに,動作が不安定だった点をソフトウェアの改良で解決しました.

3号機は,ベルトコンベアを用いて,家の中や不安定な路面に取り残された要救助者を救助できるような機体を設計しました.

4号機は,小型軽量の情報収集機としました.昨年度のものも小型偵察機でしたが,今年度のものはより適切な支援ができるようにカメラを可動式にしました,

競技ですが,当日のトラブルで4機のうち2機が動かないというハプニングを抜きにしても,準備が十分だったとは言えず,残念なことに予選敗退という結果に終わってしまいました.人数の不足ということもありチームの体制に大きな問題があったと考えております.

最後になりましたが,日頃より「六甲おろし」の活動にご理解ご支援いただいておりますKTC機械クラブの皆様に深く感謝申し上げます.今年度は十分な成果を残すことができませんでしたが,チーム全体の課題としてしっかりと受け止め,来年度以降も邁進いたします.これからも温かいご声援よろしくお願い致します.

◇学生フォーミュラチーム(報告者:南家 健太)
神戸大学学生フォーミュラチームFORTEKは2017年9月上旬に開催されました,第15回全日本学生フォーミュラ大会に参戦いたしましたのでその結果を報告いたします.

私達FORTEKは例年全日本学生フォーミュラ大会に出場し,機械クラブの皆様方をはじめOBの方々などにご支援を頂きながら活動しております.昨年度大会では目標としておりました「総合成績6位」には及ばなかったものの,過去最高の総合8位を獲得いたしました.

今年度大会では昨年度達成できなかった「総合6位以上」を目標に活動してまいりました.マシンのコンセプトといたしましては,マシンを操作するドライバーが運転しやすいマシンこそが速さにつながるのではないかという観点から「ドライバビリティの向上による速さの追求」といたしました.

2017年プロジェクトでは,チームのメンバー構成が主力となる3回生よりも2回生のほうが多いことから,早期からメンバーの育成に注力いたしました.工作機械やCADの使い方の講習を例年以上に行い,製作期間となる1月以降は戦力となるように準備を行いました.その結果,昨年以上に製作するパーツを増やしたものの,目標の4月下旬にマシンの初走行させることができました.4月には新入生が海事科学部,工学部市民工学科など計11名が入部しました.4月以降の走行会では新入生に経験を積ませるとともに,マシンの信頼性を高めるべく改良を繰り返し,大会への準備をいたしました.

9月の本大会では,初日に行われます技術車検を15時ごろに通過し,初日のうちに受けられる検査はすべてクリアいたしました.2日目には最後の検査項目であるブレーキテストに合格し,マシンは大会での走行を許可されました.また,車両の設計へのアプローチやコスト面などを評価される静的競技では,初参加のメンバーが多い中,2016年度と遜色のない結果を残し,手ごたえを感じました.動的種目ではエンジンがテスト走行時にはなかった不調に見舞われ,思うような結果を残すことはできませんでしたが,最後の耐久走行まで進みました.その耐久走行では,10周を走行した後のドライバー交代時にエンジンが再始動できず,リタイアとなってしまいました.その結果,総合35位という結果に終わってしましましたが,マシンは大会に向け完成度の高いものを製作することができ,静的審査においても納得の結果を残すことができましたので,この知識・技術を今大会で得た2回生が来年度に主力となり,その力を発揮することができると考えております.そのためには,まずスケジュールの管理をしっかり行うこと,メンバー間のコミュニケーションをしっかりとることが必要となることが分かりました.

来年度は今年度の悔しさを晴らすためにチーム一丸となって邁進してまいります.

最後に多大なるご支援を頂いております機械クラブの皆様にチームメンバー一同からお礼申し上げます.今後とも私達神戸大学学生フォーミュラチームFORTEKをよろしくお願いします.

◆「機械クラブ国際活動奨励賞報告会」報告
青山 昌平 君(博士課程後期課程2年(受賞当時))
機械クラブ国際活動奨励賞報告会が併催された.青山君から留学先の様子や,研究内容の紹介が行われた.非常に精力的に研究に取り組まれている様子が伝わる内容であった.また,異なる研究機関に身を置くことで新たな気づきがあり,異国の文化に触れることで大きな刺激を受けることができ,有意義な活動であったことが報告された.(M56 西田)