令和3年度機械クラブ「先輩は語る」講演会(報告)
併催:機械クラブ国際活動奨励賞報告会

日 時:令和3年4月28日(水)8:50 〜 10:20
場 所:Zoomによるオンライン開催
司 会:白瀬 敬一 教授

講 演 会
講演題目:
講  師:
略  歴:
「デジタルトランスフォーメーション(DX)における機械工学の強み」
神戸大学 西田 勇 氏(M56)
2008年3月 神戸大学工学部機械工学科卒業
2012年3月 神戸大学大学院工学研究科博士課程修了
2012年4月 シスメックス株式会社入社
2016年1月 神戸大学自然科学系先端融合研究環 特命助教
2016年10月 神戸大学大学院工学研究科 助教 現在に至る
講演内容
 令和2年度はコロナ禍で開催が中止になり、令和3年度もコロナ禍で対面形式での実施が困難となったことからオンライン開催となった。
 講師の西田氏は、博士課程修了後にシスメックス株式会社に入社して医療用検査機器の組込みソフト開発に従事した経験がある。また、研究者として大学に戻り機械加工における工程設計の自動化や切削加工シミュレーションなどの"ものづくり"のデジタル革新を推進する研究を行っている。さらに、研究成果を実用化するためにBESTOWS株式会社を起業するなど異色の経歴の持ち主である。今回の「先輩は語る」講演会では、"ものづくり"の現状とデジタル技術を活用した取り組みと、ソフトウェア開発者、研究者、起業家としての経験から、機械工学科で学んだことがどのように役立つのかという話があった。
 世界ではデジタル技術を活用して、ビジネスの効率化や製品・サービスの改善を図ることに注力されている。テスラは自動車を作らずに自動運転の技術を開発し、アップルやソニーもハードウェアを作らずにソフトウェアで製品やサービスの価値を高めている。AI技術者やデータサイエンティストを高給で採用する企業も登場するなど、デジタル技術とソフトウェアの重要性は増す一方である。ところが、"ものづくり"に求められるソフトウェアは、"ものづくり"を理解した技術者でなければ作成できない。ゲームやインターネットのソフトウェアと違って、プログラマーに機械工学の素養が求められるからである。機械工学科で勉強する意義はそこにある。
 また、@締切り間近の仕事、A締切りまで余裕のある仕事、どちらを優先して仕事を進めるかという質問ではAの仕事という回答。Aの仕事を続けていれば@の仕事はないはずという説明は確かにそのとおりなのだが、現実にはAの仕事ができずに@の仕事をせざるを得ない。

 新1年生の感想には、『緊急性・重要性とも高いものが今終わっていないのは、過去の自己の責任であるという考え方は私にとって初めてだったが、これから取り入れていきたい。』、『「今興味のない分野の授業でも、後々必要になってくるから必修化している。自分で必要か不必要かを判断するのは、もっと人生経験を積んでから。」いう話がとても印象的だった。』、『部活を言い訳にしないという姿勢を見習わなければならないと感じた。』、『大学の先生が会社に勤めるイメージが全く無かったが、大学で研究したことを社会に広めて活用するために起業したと知り納得した。』などと書かれてあった。
本講演の話は新1年生の記憶に深く残ったようだ。
白瀬(M30)

大学の講義室からオンライン配信をした「先輩は語る」講演

オンライン配信中の講演スライド


機械クラブ国際活動奨励賞報告会
奨励賞受賞者:
国際会議参加: 乳原 励 (D1)、永平和也(修了)
英語論文投稿: 竹上航平(修了)、坪田達也(M2)
報告内容:
 博士課程に進学している乳原君が大学の講義室で国際会議参加報告を行い、それをオンラインで配信をした。熱交換器の冷却効率向上に関する研究の紹介に続いて、英語による講演発表や質疑応答は大変だが、国際会議で海外の研究者や学生との交流は非常に貴重な経験であることが伝えられた。昨年からコロナ禍で海外渡航ができないが、間もなくコロナ禍も終息して海外渡航も可能となるので、新1年生には国際会議の参加を目標に頑張ってほしい。
 その他の3名については、学生が作成したパワーポイントの資料に基づいて、司会の白瀬教授から報告が行われた。
 新1年生の感想には、『私にも海外に行けるぐらいすごいと認められる研究ができるだろうか。』、『国際化が進み英語の重要性が上がる為、専門知識のみならず英語を使えるように勉強していきたい。』、『高校の時から、英語を受験勉強としてとらえるのではなく将来を見越して自分のものにするように言われてきたが、今回の講演でその言葉の意味が分かった。』などと書かれてあった。
 この報告会が新1年生の研究に対する動機づけとなり、英語の重要性を感じるきっかけになったことは間違いない。
以上