令和4年度総会「オムロン(株)宮田氏」
記念講演会(報告) |
開催年月日 : 令和5年3月24日(金) 15:00-15:50 開催場所 : 工学部本館5W-301 |
オムロン(株) 代表取締役執行役員専務 CTO宮田喜一郎氏(1984年度卒PM)を講師に迎えて,記念講演会が開催されました. 今年度は対面およびZoomでの配信によるハイブリッドにて開催しました. |
◆講演:卒業生に期待する「事業創造とイノベーショ ン活動」 (講師:オムロン(株) 代表取締役執行役員専務 CTO宮田喜一郎氏(1984年度卒PM)) |
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出席者 :対面(修士70名、会員14名)、Zoom参加(学士多数、会員10名) |
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玉屋会長からの講演者紹介:
・総会記念講演の講演者についてご紹介させていだきます。
・宮田様は、昭和56年(1981年)に神戸大学工学部生産機械工学科に入学され、進藤明夫先生の材料力学講座に
所属され、昭和60年、1985年3月に卒業されました。その後、株式会社立石ライフサイエンス研究所(現・オムロン
ヘルスケア株式会社)に入社され、現在はオムロン 代表取締役 執行役員専務 CTOに就任されておられます。
・オムロン株式会社は、京都市に本社を置く大手電気機器メーカーであり、2021年度の売上高は7629億円、2022年
3月時点の従業員は国内10,143人、海外18,877人、オムロングループ全体は29,020人です。
・創業者立石一真(たていし かずま)様はオムロンの前身である「立石電機製作所」を創立され、戦後オートメーション
の必要性からマイクロスイッチなどを自社開発し、1960年には当時の立石電気の資本金の4倍もの資金をかけて中央
研究所を設立、ここから自動券売機や自動改札機、交通管理システムなどを開発されたと聞いております。
・特に、自動改札機の開発ストーリーに関しては、2001年にNHKの「プロジェクトX 挑戦者たち 通勤ラッシュを退治
せよ 〜世界初・自動改札機誕生〜」で取り上げられ、当時の立石電機製作所の取り組みに、感銘を受けました。
・現在のオムロン(株)は、オートメーションのリーディングカンパニーとして、制御機器、社会システム、ヘルスケアなど
多岐にわたる事業を展開するとともに、コア技術を強化しながら、新たな事業創出に向けたイノベーションへの挑戦を
常に続けていると聞いております。
・この度は、題目:卒業生に期待する「事業創造とイノベーショ ン活動」をお引き受け頂きありがとうございます。
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講演内容: はじめに,オムロン株式会社(以下:オムロン)の会社概要と創業時のことをお話しいただいた. 創業者である立石一真(たていし すかずま)氏は新しいこと,人がやっていないことに取り組む精神があったことがご説明された. また,創業当時の身近なソーシャルニーズ創造の事例について,血圧計を例に,現在では自宅で使うことも一般的になっている商品も 最初の販売台数は数台からのスタートだったことがご紹介された. 次に,オムロンの経営の羅針盤である,未来を描く「SINIC理論」についてご説明いただいた. この理論は,「技術」と「科学」と「社会」から成り立ち,「科学」から「技術」にシーズをまき,「技術」が「科学」を刺激するもの, また,「技術」が「社会」を革新し,「社会」が「技術」を必要とするものであることが説明された. 「科学」と「技術」の関係においては,人と機械の協働・融和を実現するオムロンの技術イノベーションを推進されており, 「技術」と「社会」の関係においては,事業を通じて社会課題を解決するオムロンの事業創造に取り組まれていることがご説明された. オムロンの事業構成は,およそ60のベンチャーからなる集合体であり,各事業が独立しており,新しい事業のネタを提供し続ける 必要性を強く持っていることをご説明された. オムロンの事業ポートフォリオを確立するためには,大量のTry&Error,またはTry&Learnを重要視しており,新規事業創出機能を CTO直下に集約し,その質と量を確保しているとのご説明があった. また,新規事業創出には,バックキャストの成長プランニングが重要であることのご説明があった.つまり,近未来の 社会課題・技術進化・破壊的技術・ビジネスモデルを先読みし,近未来をデザインする必要があるとのことだった. オムロンでは,新規事業創出組織として,イノベーション推進本部を2018年に設置し,そこでは,バックキャストでとらえた ソーシャルニーズに対応する「新規事業の創造」をはじめ,「組織・仕組みの変革」や「人財の育成」を行っている. 「組織・仕組みの変革」では,7割検討していけそうならやってみて,3割は救済策をもっておくという7:3の原理を 提唱し,「現場でのスピーディな実行」と「経営での投資・リスクコントロール」の両立を仕組みにする取り組みを行っている. 「人財の育成」では,自ら課題を発見し,無地のキャンバスに絵を描け,前向きにチャレンジを楽しめるバイタリティのある 「アーキテクト」の人財の育成に力を入れているとのご説明があった. 最後に,「機械にできることは機械に任せて,人間はより創造的な分野での活動を楽しむべきである」ことをご説明され, オムロンでは,「センシング&コントロール+Think」によるオートメーションの拡張によって,その社会の実現に向けて 事業を推進されているとのことだった. 卒業生に対して,努力向上をする上では,知識よりも知恵が必要であり,知識を仕事の上で活用できる人でないと, 大きな成功は納められないとの激励のメッセージがあり,講演を締めくくられた.
(文責:M56西田)
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図1 ご講演時の様子 | 図2 講演会の会場の様子 | ||||
謝辞;宮田様には、大変お忙しいところ、ご講演いただき、また、秘書吾妻様にもお世話になり、感謝申し上げます。 宮田様から将来を担う多数の若手の聴講を希望され、専攻長のリードで博士課程前期課程修了者(修士)を中心に対面で聴講され、 卒業者・現教員・会員の多数の皆様も各研究室でZoom参加されました。 座学より実践が大切であるとの迫力ある講演に感謝するとともに協力頂いた関係者の皆様に感謝申し上げます。 (機械クラブ会長 玉屋) |