12月07日 令和6年度「若手研究者は今」講演会(報告)

開催年月日:令和6年12月7日(土) 14:30-15:30

開 催 場 所:工学部本館 5W-301

 栗本 遼 助教を講師に迎えて、恒例の「若手研究者は今」講演会が開催されました。今年度も対面およびGoogle Meeetでの配信によるハイブリッドにて開催しました。

 

◆講演:様々な複雑性を伴う単一気泡運動・気泡流の研究

(講師:神戸大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 栗本 遼助教)

講演内容

はじめに、ご略歴をお話いただいた。
2005年に神戸大学に入学して、2013年3月に博士課程後期課程を早期で修了されている。その後、滋賀県立大学にて助教を務められた後、2020年4月から神戸大学に戻って研究を続けられている。研究では、主に混相流(気体、液体、固体が混ざったもの)に関して取り組んでいることが紹介された。混相流とは、身近なところでは、自然界では、雨や河川、血液などがあげられる。産業界では、発電所やエンジン、燃料電池などがあげられる。混相流に関する事象の中でも、特に相間界面の時空間変化や混相流のマルチスケール性に興味を持たれていることが紹介された。

続いて、自身がなぜ混相流の研究を始めたかについて。
ご紹介いただいた、大学入学時から流体工学に興味を持っていたこと、冨山教授の講義がわかりやすかったこと、当時は原子力発電に注目が集まっていたことが決め手となったとのことだった。学生時代には、液体で満たされた鉛直円管内を浮力により上昇する非混和液滴の終端速度に関する研究に取り組まれていた。円管内を液滴が上昇する際には液滴の形状が変化し、それに伴い終端上昇速度も変化する。その終端上昇速度を予測することに取り組んでいた。また、周囲液体中に界面活性剤が含まれることによる液滴の終端上昇速度への影響を明らかにすることに取り組んでいた。博士課程後期課程に進学した理由として、就職後に熱流体関連以外の仕事をしたいとは思わなかったことや、研究で新たな発見ができることが楽しかったことであると説明された。博士学位修得後の進路選択では、最初は企業への就職も考えたが、自分のやりたい研究を続けたいとの想いから、大学教員になることを選んだとのことだった。その後,滋賀県立大学にて自身の研究を進展させた後に、2020年に神戸大学に異動されて、さらに研究を発展的に進められている。神戸大学に異動されてからは、ろ過膜洗浄技術や微細粒子および界面活性剤が混入する液中気泡流の流動把握技術など、新しい領域にも挑戦的に取り組まれていることが紹介された。

最後に、これまでのキャリアを振りかえって、いい機会に恵まれていたことが伝えられた。
また、聴講していた学生に対して、博士課程後期課程の進学も含めた進路選択をしてほしいことが伝えられた。混相流の研究の重要性は今後も高まるものと予想され。社会を支える技術であり、今後の研究にも大いに期待できる内容であった。

(文責:M56西田)