「平成26年度 機械クラブ総会・講演会」報告

開催日時: 平成27年3月25日(水) 
開催場所: 兵庫県私学会館206会議室
          神戸市中央区北長狭通4丁目3-13
参加者数: 総会52名,講演会73名

【1】総 会       16:00〜17:00
平田総務部会長の開会宣言に続き、冨田会長に議長を委嘱し開催した。
1. 会長挨拶
 冒頭冨田会長より、会長就任以来1年が経過し、この間役員、会員各位の支援で今日に至り感謝する。 大学と協力して様々な取り組みを行った結果、催しへの参加数が増加している。坂口先生のご提案にて新たに座談会部会を創設し、すでに2回の座談会が成功裏に終了し、関連のHPも充実している。また、若年層で有名無実になっている、クラス代表の見直しを行った結果、まだ統計的な数値で表すには至っていないが、案内に対して、返事を頂く割合の増加傾向が見られる。今後,これまで以上に、執行部ならびに会員の皆様の強力なご支援を頂き,KTCMの継承・発展に努めていく所存である。宜しくご支援,ご鞭撻のほどお願い申し上げます。との挨拶をいただいた。
2.報告事項
 【1号議案】 平成26年度活動実績と平成27年度活動計画
  資料に基づいて平田総務部会長が「平成26年度活動実績」と「平成27年度活動計画」を一括して報告を行い、特に異議無く承認された。
 【2号議案】 平成26年会計報告および監査報告
  資料に基づいて松田財務部会長から"収入"と"支出"の主な項目についての内容と金額が報告された。それに対し、岡監事から「厳正、かつ慎重に監査を行った結果、正確・適正な会計処理が行われていることを確認できた」との監査結果が報告され承認された。
3.審議事項
 【3号議案】 平成27年度組織・人事
  冨田会長から役員一覧表を基に説明があり、特に異議なく承認された。
  財務部会長 松田光正氏から副島宗矩氏へ交代
  東京支部長 鈴木洋二氏から前塚 洋氏へ交代
 【4号議案】 平成27年予算
  資料に基づいて、松田財務部会長から平成27年の予算について説明があった。収入面では納入者増(400名)により、1,300千円を計上し、支出面では26年度まで「経費関係」に含めていた、機関誌部会/座談会部会/活性化対策を「活動費」として記載することでその内容と予算を明確化した旨の説明があった。 審議の結果、特に異議なく承認された。
4.各種表彰
 今年度の各種表彰が冨田会長より報告された。
  • 機械クラブ賞
               横小路 泰義氏 (大学院工学研究科機械工学専攻教授)
  • KTC理事長賞
               佐藤 友樹氏   (大学院前期課程機械工学専攻2年)
  • 機械クラブ会長賞
               柏木 洋慶氏   (大学院前期課程機械工学専攻2年)
  • 機械クラブ国際活動奨励賞(6名)
               稲川  毅氏   (大学院前期課程機械工学専攻2年)
               村松  瑛氏   (大学院前期課程機械工学専攻1年)
               佐々木 翔平氏 (大学院後期課程機械工学専攻1年)
               野末 貴大氏   (大学院前期課程機械工学専攻1年)
               奥田 龍弥氏   (大学院前期課程機械工学専攻2年)
               川  智明氏   (大学院前期課程機械工学専攻2年)
5.機械工学専攻の近況
  竹中信幸専攻長から、学科構成、教員の充実・異動、研究内容、学生の進路、平成28年度からのクオーター制導入に伴うカリキュラムの見直し等につき幅広く説明を頂いた。入学定員は前期:80名、後期:20名である。

6.機械クラブ賞授与
  冨田会長より横小路 泰義氏に授与された。

  
【2】講演会      17:15〜18:20 兵庫県私学会館(神戸市)
 講演者:JFEメカニカル(株) 取締役副社長 仲田卓史氏(M(23))
テーマ:「安全文化を創る」

内容概略:
  1. JFEメカニカル:NKKと川崎製鉄の統合によるJFEスチール誕生に合わせて翌年そのエンジニアリング会社も2004年に統合し、誕生した。(メンテック機工と川鉄マシナリー)
  2. 統合時の両社融合のための一つとして、2005年1月、高い安全文化を構築し、「日本一安全な工事会社」の実現を目指して「安全文化創生活動」に取り組む。
  3. 従業員2,600名+協力会社4,300名が働く会社であり、自動化、機械化も難しい状態。道工具による事故が1位を占める。危険な仕事を、いかに安全に実施するか?が最も重要。
  4. 改善のために、デュポン社にコンサルタントを依頼。デュポン社は人間行動に焦点を当てて、安全を考えている会社、との情報から。
  5. 「安全文化Safety Culture」という考え方は1986年に発生したチェルノブイリ事故の原因の調査と検討の結果をきっかけとして生まれたもの。国際原子力機関(IAEA)の国際原子力安全諮問グループの提言による。「安全文化」とは、組織と個人が安全を最優先する風土や気風のこと。
  6. ブラッドリーモデル(別紙)の考え方に基づき、現状を分析/理解した上で、理想の状態に近づけるための方策を展開し、実行してきた。
  7. 目指すのは「誰が見ていなくても安全な行動が実行できること」
    これを実現するために、
     ・階段の昇降は必ず手すりを用いること
     ・必ず横断歩道を用いた道路横断をすること
    といった当たり前のことを社員全員に徹底させて、実際の現場作業でも、安全で慎重な行動がとれるようにする。
  8. 管理者は、「意図しないメッセージを伝えていないか」を気にかける
     ・現場に行かない ・不安全行動を見て見ぬ振りをする
     ・納期が危なかったら現場に行って、安全よりも納期を優先させるような態度を取る など
  9. James Reason 著 Managing The Risk Of Organization Accident(「組織事故」)を「安全文化を創る」活動の参考にした。
  10. 現状認識→価値観共有→根付かせる→維持 のStepが大切。特に管理者はFelt Leadership(感じてもらえる指導力)が大切。
    部下、仲間から、「この人は本当に自分達の安全のことを考えてくれていて、事故、災害を起こして欲しくないと心から思っている」と感じてもらえるリーダーシップ。
  11. この活動を10年行ってきて、事故度数率は当初0.5〜0.7 → 0.2〜0.3 へ 低減してきた。
  12. 「安全文化」を浸透させていくために、朝礼、会議の前には必ず「安全対話」を行い、パトロールも「対話型パトロール」を導入した
    安全対話:私生活でヒヤリとしたこと、失敗などを話すことで身の回りにいろいろな危険が存在
          することをいつも認識させる
    対話型パトロール:安全パトロールで、改善点指摘→改善させる という管理型でなく作業の
          問題点を現場で話し合い、作業者に対策を考えて実行を約束してもらう
  13. 大切なのは
     ・トップの強い思い、リーダーシップ
     ・変わる事への動機付け、ベクトル合わせ
     ・経営資源の投入
     ・すぐに効果が出なくても我慢すること
    と思っている。
  14. 今回の知見を基に、安全ビジネスへの参入も考えている。